中公文庫
暗闘〈下〉―スターリン、トルーマンと日本降伏

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  • サイズ 文庫判/ページ数 371p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122055131
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C1121

内容説明

一九四五年八月十四日、ポツダム宣言の受諾が決定された。日本降伏の決定打となったのは原爆投下かソ連の参戦か、降伏後、千島列島では何があったのか―日米ソの史料を緻密に分析し、太平洋戦争終結の真相にせまる。著者が原爆投下の倫理責任について語った記念講演も収録。

目次

第5章 原爆とソ連の参戦
第6章 日本の無条件降伏受諾
第7章 「八月の嵐」―日ソ戦争とアメリカ
結論 とられなかった道
補章 アメリカと広島の教訓―過去と現在

著者等紹介

長谷川毅[ハセガワツヨシ]
1941年、東京に生まれる。東京大学教養学部教養学科卒業。ワシントン大学で博士号取得。77年アメリカ市民権取得。北海道大学スラブ研究センター教授を経て、現在カリフォルニア大学サンタバーバラ校歴史学部教授。ロシア史、日露関係を専門とし、近年は冷戦史にも研究領域を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

12
日本が降伏にあたり最後までこだわったのは国体(皇室保全+天皇の統治大権)であって、国民の生命財産は考慮されなかった。ここには、君主制の本質が最も純化された形で表れている。当時の日本は「そういう国」で、昭和天皇も他の思考回路を持ち合わせていなかっただろうから、現代の価値観だけで彼を裁くことはできないのかもしれない。ただ、「天皇が我が身を捨てて国民を救った」という物語が今なおまかり通っているのは愚劣極まりなく、情けない気分にさえなる。我々はまだ臣民根性から抜け切れないのか。2024/03/15

新父帰る

8
上巻に引き続き、日米ソ間の日本のポツダム受諾と原爆投下までの、正に各国の暗闘を描いている。日本がポツダム宣言を受諾する上でソ連参戦と原爆投下のどちらに影響力があったのかが明確に示されている。また、八月の嵐と称したソ連の満州侵攻とクリール(千島列島)占領について、特に後者について詳細に語られている。北方領土問題を理解する為の良書だ。終戦の年八月に入ってからの日本の中枢部の鈍重な歩みには正直苛立ちを覚えた。天皇陛下の英断の意味が改めて認識された。司馬遼太郎賞、読売・吉野作造賞を取得した名著であり、労作だ。2016/06/05

Mitz

5
ポツダム宣言前後の、日米ソの最後の闘い!日本降服の決定打になったのは原爆投下か、ソ連参戦か、それとも…。アメリカでロシア史を研究する日本人により『Racing the Enemy』の題名で英語で出版された後、日本語に訳され加筆されたのがこの書。太平洋戦争末期の軍事・外交・当事者達の心理について、ここまで緻密に分析・描写されている本は他にはないだろう。結論の章では、歴史論考でタブーとされている“If”の提起がなされており、実際に選択された決定の性格をより明確に浮き彫りにすることに成功している。オススメの一冊2011/08/31

うたまる

4
アメリカはソ連を見限り、ポツダム宣言と占領行政から締め出すことによって日本を反共の砦とした。ソ連はアメリカを出し抜き、フライング参戦することによって火事場泥棒に成功した。一方、日本は日ソ中立条約を信じ、非人道的な兵器など使用されるはずがないと信じ、自国の暗号機密を信じ、再び神風が吹くと信じた。その結果があの惨憺たる敗北。何と幼稚でナイーブな民族なんだ。現代でも左巻きは中国は脅威でないと信じ、右巻きは米軍が守ってくれると信じている。他国を信じるなという国際政治上のテーゼは、永遠に手に入れらないものなのか。2016/06/16

たけふじ

3
8月6日に米が広島に原爆を投下し、8日にはソ連が対日宣戦布告したことで日本の終戦受け入れは大詰めを迎える。その頭越しでは戦後アジアの覇権をめぐる米ソの争いも激化する。示唆的なのは、ソ連がイデオロギーではなく、帝国主義的な「地政学的利益を追求した」(p245)と筆者が分析している点。これは現在のロシアが求める「勢力圏」「影響圏」と相通ずるものがあるし、北方領土を返還しない理由ともつながる。北海道まで占領し、実際に計画も動いていたというのは末恐ろしい領土欲である。2021/01/14

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