内容説明
閉塞感漂う地方都市・汐灘の海岸で発見された女性の散弾銃による変死体。県警は自殺と結論づけたが、捜査一課・石神謙は他殺の線で捜査をつづける。一方、地元政界は、引退する大物代議士・剱持隆太郎の後継選びで混迷を深めていた。石神と剱持、まったく異なる人生を歩んだ、二人の運命が交錯する。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年秋『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
88
いやぁ、面白かった。一気読み。犯人は前半でほぼ判明してしまうので、犯人探しのミステリではない。堂場さんお得意の、犯罪「も」絡んだヒューマンドラマ。犯罪と政治が縦軸として、父子の情、男同士の友情、そして主従の忠誠、なんかが横から斜めから絡んで、極上のエンタメ作品に仕上がってる。魅力的な男性と、だめんずな男性の描かれ方の対比もおもしろい。ラストのどんでん返し(!)というおまけも大サービス。残りのサーガもぜひ読みます♪2014/10/27
KEI
34
汐灘市の海辺で発見された1人の女性の死因を巡って、上層部の圧力を抗して探る石神、汐灘1区から歴代の代議士を出している釼持家。4代目に当たる隆太郎は次期候補を息子に譲ろうとしているが、選挙区を巡る政争が続く。事件の犯人は中盤で読者にも分かる様に書かれているのだが、そこが本筋では無く、人と人の駆け引き、友情、父と息子の絆、忠義を尽くした秘書、裏をかいた者。見事な人間ドラマだった。著者の作品はスポーツ物しか読んだ事が無かったが見事なエンタメ小説だった。2017/06/25
はる
30
そうなのです、やはり悪いことしたならきちんと裁かれるべき…と思いつつ石神警部補めっちゃ応援したけど、後半が予定外なこと多くてページを捲るスピードに拍車がかかりました。ミステリー自体も先は読めるが面白くてよかった。2024/01/11
下町ロコモーティブ
18
【堂場コミュ】太平洋に面した海岸の堤防の下で女性の惨殺死体が発見された。現場には銃番号が消された散弾銃が凶器として残されていた。若くかつ妊娠している事が判明した女性が自殺などする可能性は限りなく少ないがある筋より警察に理不尽な圧力があり他殺の捜査は組織として行われない事になった。義憤に燃えた刑事二人の活躍で真犯人と事件を操った大物が明るみになり驚きのクライマックスを迎える。最終的に真相は暴かれたが正義にもとる圧力に屈した警察の在り方には怒りを覚える。2016/12/14
ロッシーニ@めざせ正社員
15
前作「長き雨の烙印」ほどではないけど、後味が悪いです。スキャンダルを一つもみ消すためだけに、いろんな思惑が交錯してて、ゾッとしました。また、「長き雨〜」の伊達刑事のその後が語られていたのが良かったです。2012/09/08