内容説明
紀元一世紀なかばの南海貿易について、無名の商人が書き記した貴重な文献を、ヨーロッパ古代史の碩学がギリシア語から訳出。平明達意な訳文と、周到厳密な解説・訳註によって、紅海、インド洋をまたがり活発に行われた交易の様子がいきいきとよみがえる。
目次
アフリカ東海岸
紅海東岸
アラビア南岸
ペルシア湾内部
インド洋北岸
インド
マライ、シナ
著者等紹介
村川堅太郎[ムラカワケンタロウ]
明治40年(1907年)、東京に生まれる。昭和5年、東京帝国大学文学部西洋史学科卒業。旧制一高教授を経て、昭和22年、東大教授。専攻はヨーロッパ古代史。東大名誉教授、学士院会員、地中海学会会長を務める。平成3年(1991年)没。主な著書に『地中海からの手紙』(日本エッセイストクラブ賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
32
2000年前の古典本文はわずか43ページ。字の大きさを考慮すれば、全体の1割か? しかし残りの解説部分こそが、この本のキモ。あらゆる学識を駆使して、古代世界をかいま見ようとする、諸家の努力の結晶に他ならない。交易を通して見た古代は、意外に現代的であるかのように錯覚してしまう。政治・軍事を中心に記述する歴史に出てこない、商業から捉える動的古代史。2016/06/10
ドウ
6
古代ギリシア人商人がエリュトゥラー海(紅海~インド洋)の諸港で取引される物産や行程について案内を記した本。本文だけでは全く内容が理解できないが、精緻な註釈のお蔭で誰でも太古のロマンとその背後にある東西交流史を深く理解できるようになっている。これほどの知が、たった700円程度で得られてしまう日本の豊かさも感じますね。2018/04/08
うた
4
ここの特産はなになに、ここは海底の地形が複雑だから注意すべしといったことをまとめた2000年くらい前の商売案内記。エキゾチックで面白いですよ。2011/08/19
ふら〜
2
高校世界史で名前だけ触れた本を実際に(勿論訳書だが)読んでみようシリーズ。意外に本編が短いが、簡潔にその当時の様子を切り取っているのはやはり興味深い。2021/04/25
HH2020
1
◎ たいへん勉強になりました。2014/03/02