内容説明
吉田健一、石川淳、里見〓(とん)、谷崎松子、円地文子、大岡信、ドナルド・キーン…一流の作家・評論家たちと丸谷才一が杯を片手に語り合う。源氏物語から谷崎作品、シェークスピアからジョイスまで。文学者たちがあやつる最上の話し言葉を。
目次
読むこと書くこと―吉田健一
小説のなかのユーモア―河盛好蔵
本と現実―石川淳
倚松庵日常―谷崎松子
いろんなことをするから人生―里見〓(とん)
吉田健一の生き方―アウトサイダーの文学と酒 河上徹太郎
『源氏物語』を読む―円地文子
花・ほととぎす・月・紅葉・雪―大岡信
エズラ・バウンドの復権―篠田一士、ドナルド・キーン
ジョイス・言葉・現代文学―清水徹、高橋康也
著者等紹介
丸谷才一[マルヤサイイチ]
1925年(大正14年)、山形県鶴岡市生まれ。東京大学文学部英文科卒業。小説、評論、翻訳、エッセイと幅広い文筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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燃えつきた棒
37
十五、十六、十七時まで、私の人生暗かった。 「圭子の夢は夜ひらく」ではないが、当時はそう呼ばれる人を馬鹿にしていた僕も、今思えば「五時から男」そのものだったのだ。 飲み屋でのF先生との文学談義だけが生きがいだった。 そんな遠い日々を思い出しながら読んだ。 本書は、丸谷才一と石川淳、大岡信、清水徹、高橋康也ら計十二人の作家や文学者との対談集である。 ほとんどの言葉は、読み手に教養が無いため流れていってしまったが、今回は二つだけ目についた石を拾って帰ろう。 例によって引用がやや長くなりますが、ご容赦下さい。2022/11/17
呼戯人
21
丸谷才一が吉田健一とか河盛好蔵とか石川淳などといった文豪と対談している。英文学にも仏文学にも江戸文学や平安文学にも一通りでなく詳しい仙人のような人たちとばかり話しをしているので、思いがけない小咄に出会ったり、新しい知識にぶつかったり、とても楽しい時間を過ごせた。文学ってこんなに楽しいものなんだということが丸谷とその対談者から伝わってくる。ウィスキーを舐めながらこの本を読むと芳醇な時間が香高く私の中を通り過ぎてゆく。文学と酒があれば、人生は苦くて美味しいものとなって舌触りの良いものとなる。2016/03/28
ゆーかり
19
有名文学者たちとの対談/鼎談集。丸谷才一が若輩者に思える相手さえいる。凄い、興味深い、面白い。国文学や古典に明るくないので知らない人も結構出てくるが、知識があればもっと面白いと思う。かなり昔の対談もあるので「今」がいつなのか、読んでいると明治や江戸を近く感じたり。歴史上の文豪たちが皆生きている、或いは実際に会ったり交流した時の話が出てくるのだ。井伏鱒二も生きているし、太宰君とか武者さんとか、谷崎はこうでしたと元妻が語ったり。その場で先生方の話を聞いてみたい。この内容についていける程の知識も欲しい。2017/05/18
佐島楓
15
作家というより「文士」と申し上げたほうがしっくりくる良き時代のかたがたとの対談集。文学って何だろうということを追究していたのは今も昔も同じだとわかって感慨深かった。あともう教養のレベルが違いすぎるので感服。情報過多の現代だからこそ良質の本に触れていきたい。2011/10/25
A.T
14
多くの古典を現代的な 目線で評論してくれて未読の作品への興味を広げてくれる丸谷さんの対談集。昭和47年から58年にはこのようなハイレベルな対談も雑誌の読者もついて来れた。それから3〜40年を経て吉田健一、エズラ・パウンドなどは名前すら見たことがなかった。1960年代に大島渚やゴダールなどが新左翼的な目線で映画を撮るようになった土台などは、まさにこのパウンドの過激な詩作が土台にあったのではないか、、、など勝手ながら深読みしました。2016/06/26