内容説明
紋章学、占星術、古銭学、美味学、詩学…これら「西洋学の裏通り」を探索することで、ヨーロッパの歴史・社会・文化に通底する西欧思想の原形質をつきとめ、時代の風化に耐えぬく堅固で重層的な西洋的近代知の存続を確認する。西洋学の愉悦にひたる一冊。
目次
占星術―存在の連鎖の解明
光学―神は光であった
紋章学―個と群の標識術
系譜学―始源と継承の神話学
古銭学―魔性の歴史
古文書学―近代の学知か
カノン法―教会には法がある
官房学―統治の学の鉱脈
分類学―分割して統治せよ
修辞学―表現と説得の術
言語学―ヨーロッパの言語伝統
図像学―造型の規約
美味学―味覚の思想
心理学―プシュケーの遍歴
詩学―真に人間的たるために
著者等紹介
樺山紘一［カバヤマコウイチ］
１９４１年、東京に生まれる。６５年、東京大学文学部卒業。京都大学人文科学研究所助手、東京大学文学部助教授、同教授、国立西洋美術館館長を経て、現在、印刷博物館館長、東京大学名誉教授。西洋中世史・西洋文化史を中心に幅広く研究（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ふるかねこがね
5
西洋学の裏通りを探索する本。 読みやすかったのは美味学、心理学。味覚のバリエーションが増えるのは正しいことだなと思った。それ以外も多岐に渡り、こんな事まで書けるのか、と。 古い本っていいなと思えました。 全体的に滋味ある知識でした。2017/07/11
fujiserika
4
知識が幅広すぎて読むのに苦労しました（笑） 文章がとても美しいです。ゴシック式教会に光が差す情景が浮かんでそれがまさに神の来臨思わせる様が想像できるなんて…最近本を読んでて「想像できる」ことが少なかったのでびっくりです＾＾2011/06/24
ハンギ
3
1980年あたりに出たが、最近改定されて出版された。西洋思想というとわれわれ日本に住んでいる人間にとっては、どうしても点としてしか理解できないところがある。つまり、個々の本を読むことで全体のイメージを培うという方法だ。本書はその点につなぎ合わされた全体に敷き詰めるためのクッションのようなものであり、西洋思想そのものは実は巨大な量によって成立していることを垣間見せてくれる。面白かったのは紋章学、系譜学、官房学、古銭学などなど。入門書的な性質を持っているが、これを超える本は当分出てこないだろう。2011/06/16
