内容説明
安房勝山の菜種農家の末娘・二三は、五歳にして江戸深川の油問屋に養女として貰い受けられる。生家の母親譲りのてんぷらの腕、持ち前の気丈さで、江戸の町に馴染んでゆく。やがて、大店の跡取りとして逞しく成長した二三を、新たな苦難が見舞う。いくつもの悲しみを乗り越えた先に、二三が見たものとは―。涙の後に爽快な、人情時代小説。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年高知市生まれ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業。旅行代理店、広告制作会社勤務などを経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。2002年『あかね空』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
53
同じ作家さんの作品を続けて読むと嫌になる・・何度も同じミスをします。 山本作品を好きなのですが、そろそろ嫌になってきました。 5歳にしては出来過ぎの二三。 美人で可愛くて性格良し。 皆に愛され、苦難にも真正面から誠実に立ち向かい切り開く。 ワンパターンなのです。 金銭感覚も違いすぎて、お金をばら撒きすぎ。 自分の生活を危なくしてまで他人の為に差し出す行為は、私には相容れないのです。 最初に山本作品を読んだ時は感動したのに、今回は突っ込みしまくり。 つくづく自分のケチさ、度量の狭さにトホホでした。2015/02/03
tengen
37
勝山の菜種栽培農家に3人目二女としてうまれた二三。 やさしい両親・兄姉に囲まれてのびのびと育つのだが、5歳の時に子のいない遠縁の油商勝山屋に養女として引き取られてしまう。 寂しさの中、大店での暮らしに戸惑うも義父母の愛情を受け、すくすくと成長する。 養子入りという環境にありながら、二三は穏やかな少女時代を過ごすのだが、その先には過酷な運命が待ち受けていた。2021/04/12
とらこ
37
菜種農家の末娘が養女に貰い受けられ、江戸で力強く成長していくお話。ド田舎で伸び伸び育ったヒロインが幾つのも苦難を挫けることなく、真っ直ぐに乗り越えていくさまに引き込まれていく。そしてこの作品の一番の魅力は美味しそうなてんぷら。衣を付けるにもテクニックがあるのですね。揚げたてのてんぷらが食べたくなるお話です。2015/01/17
Atsushi
33
5歳で深川の油問屋に養女として迎えられた二三(ふみ)の奮闘記。火事で養父母を亡くしたり、地震で実母と婚約者を失ったりと数々の不幸に襲われながらも逞しく生きる姿に胸が熱くなる。二三を支える下町の人たちが人情味あふれて何とも粋。2018/10/07
ふう
33
昔からこの国の人々は(いえ、世界中の人々は)、幾度も火事やさまざまな災害に合い、そこから立ち上がって生きてきたのだなと思いました。家族や親しい人との悲しい別れからも。その力を与えてくれたのはやはり力強く生きてきた両親や周りの人たち。幼いときに教えられたことはきちんと身に付き、長い人生を支えてくれるのですね。ていねいな所作、相手を思いやる気持ち、いざというときのお金の使い方など、江戸時代の人たちはこんな考え方で生活していたのかと感心しましたが、そういう教えがちょっと強すぎるかなという気もしました。2012/07/30
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