内容説明
日中戦争前夜、名門・嵯峨家の姫君として生まれた浩は、日本政府と軍部の意向により、満州国皇帝の弟・溥傑に嫁がされる。政略結婚にもかかわらず愛を育む二人。だが、日本の敗戦によって満州国は崩壊。さらに娘の死、文化大革命とさまざまな試練が訪れる…。激動の時代を生き抜いた夫婦の本格評伝。
目次
第1章 嵯峨浩から愛新覚羅浩へ(プロローグ(二尊院にて)
嵯峨家と中山家 ほか)
第2章 中国大陸から日本への逃避行(蒙塵 ソ連軍の侵攻;一命をとりとめた通化事件 ほか)
第3章 愛娘慧生の死(慧生行方不明に;大久保武道の慧生への焦れの気持ち ほか)
第4章 平和を取り戻して(夫溥傑の釈放;日本への里帰り―やがて健康を害して ほか)
付記 北京秋天
著者等紹介
渡辺みどり[ワタナベミドリ]
東京都生まれ。早稲田大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。1980年、ディレクターとしてドキュメント番組「がんばれ太・平・洋・三つ子十五年の成長記録」を制作、日本民間放送連盟テレビ社会部門優秀賞を受賞。59年の皇太子成婚記念パレード中継にかかわったのを皮切りに皇室報道で活躍。89年の昭和天皇崩御特番でも総責任者を務めた。現在、文化女子大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
8
日満の政略結婚ですが、いろいろな逆流の中夫婦仲が良かったのはすごい話だなと感じました。話自体は目新しい部分は余りなかったですがスラスラと読めました。2020/05/07
とんかつラバー
7
天皇家にも縁のある名家に生まれ、満州皇帝の弟と政略結婚させられ中国へ。嫁いでいってからは日本政府は援助はせず(住むところもロクでない)皇帝が資金援助をしてくれる。当時の軍部がクソすぎる。敗戦して長年の捕虜生活だが、この辺読んでいて辛すぎる。帰国してやっと幸せになったかと思いきや娘がストーカーに無理心中される。幸いなのは夫婦仲が良かった事だろうか。内容がほとんど引用でワイドショー仕立てな感じ。読むなら本人の自伝のほうがお勧めです。2022/07/27
こまさん
4
浩さんの『流転の王妃の昭和史』を読んだ後だと、ほとんど内容が引用であることがわかる。著者独自の視点がほとんど無くて「評伝」と呼べるのか疑問。ちょっとがっかり。2017/12/04
Mana
3
NHKの歴史秘話ヒストリアでやっていたので借りてみた。分かりやすくまとまっていて良いと思う。2015/11/12
ダージリン
2
溥儀の弟、溥傑の妻として映画「ラスト・エンペラー」にも1シーンだけ登場する浩さん。浩さんがどういう人なのか、どんな経緯で二人が結婚したのか、何となく気になっていた。この本を読み、政略結婚ではあったものの、愛を育み深い絆で結ばれた美しき夫婦の姿に率直に感動した。溥儀の妻婉容の哀しき最期、周恩来が示した温かさ等、周辺を取り巻く人達のエピソードも興味深い。収監されていた父に会いたいと周恩来に直訴の手紙を送った長女慧生の悲劇的な最期も心に強く残った。2016/01/24