内容説明
現代哲学の難問に挑んだ記念碑的著作の前篇。心とは?他者とは誰だろうか。
目次
他我問題(他者という謎;「他人の痛み」の意味;大森荘蔵の「他我の意味制作」論;フッサールの「他我構成」と大森の「意味制作」;「自我から他我へ」という袋小路;逆転スペクトルの懐疑;無痛人間の「痛み」理解;世界の眺め;感覚と知覚;身体の人称性;知覚因果説の誤り)
規範の他者(「意味」という幻想;クリプキの誤謬;根元的規約主義;論理の作成;言語ゲームと他者;アスペクト論;反転する世界;自己知の謎)
著者等紹介
野矢茂樹[ノヤシゲキ]
1954年(昭和29年)、東京に生まれる。1985年、東京大学大学院博士課程修了。北海道大学文学部助教授を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ichiro-k
10
いまさらではあるが、哲学という学問は、その命題によっては、数学でいうところの「微積分」のようにこれからの自分が生きていく上では、「必要のないモノ、使わないモノ」ではないだろうか・・・?そんな気持ちになってしまった内容。乱暴にいえば「そんなことどーでもよろしい!」のである。故大森荘蔵氏の「時は流れず」にあるように、「他我問題の核心はまさしくそれが「問題」とされているところにある。というのはそれが問題だとされているのはただ哲学者(哲学的心理学者や社会学者も含めて)の間だけであって、健常な一般人にはそれが問題で2011/05/11
大道寺
6
他者論。アスペクト論。根元的規約主義。まだ前半なのでさっさと後半にいきます。ここで一旦自分なりにまとめるのもありだと思うけど、それだけの気力体力がないのもある。ウィトゲンシュタインやそれを受けてのクリプキの議論なんかを面白いと思うなら、おすすめかと思う。2014/01/25
coaf
5
こりゃ面白い。本書はその題名からして哲学の入門書かと思ったが、そうではなくて野矢茂樹の航海のような哲学が記されたものだった。心について世界や知覚と絡めながら分析していく議論は興味深い。2013/08/17
void
4
【★★★★☆】常識的な実感からスタートし、大森・ウィトゲンシュタインらの説を引きながらどこが受け入れられ、どこが問題かをはっきり示しながら論を展開していく。分析などは高度なのに伝わるように問い返しが盛んなのがありがたい。哲学する舟に乗り合わせて、馴染みの地平が遠ざかり新地平が見えてくる感覚。面白い。2012/09/01
夕刻
4
他人の痛みを知ることができるのか、「「意味」とは何か」とは何か、に焦点を当て様々な視点から著者独自の考えを導きだしていく。2010/10/01
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- 和書
- 檸檬のころ 幻冬舎文庫