出版社内容情報
日中戦争から太平洋戦争に戦線拡大する日本。行く手にアメリカが待ち受け、原爆投下、東京裁判が立ちはだかった。戦後の戦争検証が進む中で、日本人は戦争責任を具体的にどう捉えてきたのか
内容説明
日中戦争から太平洋戦争への無謀な戦線拡大、失敗を重ねながらの終戦工作、そして戦勝国のみによる東京裁判―下巻では時系列にそって戦争を検証し、上巻のテーマ別検証もふまえて最終総括を行う。われわれ日本人はそこから何を学び、未来に生かすことができるのか。
目次
第1章 日中戦争
第2章 日米開戦
第3章 太平洋戦争
第4章 終戦工作
第5章 東京裁判
第6章 「昭和戦争」の責任を総括する
第7章 「昭和戦争」責任検証最終報告
第8章 「昭和戦争」から何を学ぶか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
57
下巻は「昭和戦争」(読売新聞社でそう名付けることにしたそうだが、定着しなかった)の通史と戦争責任が誰にあったかをまとめた内容で、はっきり言って目新しさはなかった。東条の憲兵による政敵封殺について強調していたのが目に付くくらい。天皇は明治憲法によって「無答責」とされていたことを確認してその戦争責任については終わりになっている。さて問題は、明治憲法で大臣や軍が責任を負うのが天皇に対してであって、国民(そもそも「臣民」だし)ではないことではないのか。だから「一億相玉砕」なんて考え方が出てしまう。その指摘が皆無。2023/06/27
maghrib
5
読売新聞主筆の渡邉恒雄によると思われる日中戦争・太平洋戦争の検証。歴史書でなく新聞社主催なのでどうしてもストーリー仕立て、属人的責任追及の部分が多いが、個人的には近衛文麿への責任追及が目新しかった。保守側とされる読売新聞の刊行であるが、今の世相からすると戦争批判のスタンスが強いようによめる。やはり戦争を体験している人間が社会の指導者にいる間は戦争への抑制が効くのだろう。しかし改めて集団錯誤というか誰も主導的立場をとらないまま太平洋戦争開戦に至ってしまった過程が見える。2025/06/23