中公文庫
彷徨の季節の中で

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  • サイズ 文庫判/ページ数 313p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122051652
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

出版社内容情報

複雑な生い立ち、父との軋轢、共産主義運動と挫折、不毛の恋愛、結核の療養――西武セゾングループのリーダーだった堤清二が、戦争と混乱の時代を生きた青春を赤裸々に描く自伝的小説。

内容説明

複雑な生い立ちへの負い目、政財界の鬼として一族に君臨する父との軋轢。反逆と挫折を繰り返しながら自らの生きる道を追い求める甫の青春を描く。作家・辻井喬の誕生を世に知らしめた自伝的デビュー作。

著者等紹介

辻井喬[ツジイタカシ]
1927年東京生まれ。詩人・作家、元セゾングループ代表。経営者・堤清二としての活躍が知られる一方、精力的な創作活動で多彩な作品を生み出す。著作に『異邦人』(室生犀星詩人賞)、『群青、わが黙示』(高見順賞)、『鷲がいて』(読売文学賞詩歌俳句賞)、小説『いつもと同じ春』(平林たい子文学賞)、『虹の岬』(谷崎潤一郎賞)、『父の肖像』(野間文芸賞受賞)など多数。『自伝詩のためのエスキース』にて第二七回現代詩人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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たぬ

13
☆4.5 本名堤清二、元セゾングループ代表の著者による自伝的小説。ここに書かれている「私」の父親のような傲慢かつ尊大で女にだらしがないタイプには通常なら相当に強いストレスを感じるのだけど、本作ではそれよりも悲しみと虚しさのほうが先に立っていた。「私」の出自があまりにも暗鬱で笑顔が向けられない。「私」には居場所がない。本当の意味で心を許せる相手がいない。幼少期~20代半ばくらいまでの日々は終始そんな感触だった。2025/06/10

とみやん📖

8
タイトルのとおり、さまよう青春ヒストリーだった。 次から次へと、様々な人物が現れては離れの繰り返しで、冗長でまとまりがなく、小説としては今一つだった。文章としても読みにくく、あまり関心しない。 特異な生い立ちの自伝として、単に目を引くのみ。2017/02/12

マサキ

5
圧倒的な父の存在感、自らの出生を巡る怒りと嫌悪、戦中、戦後の大きな歴史のうねり。特殊な環境に置かれた個人はいったいどこに身をおけばいいのか。その特異な設定に戸惑うこともあったが、最終5章を迎え、父の子である運命に抗おうとする自分、活動家としての自分の挫折から、個人の内面に深く降りていく。そこに環境における特殊性はむしろない。「仮面と仮面のあいだに落ちた自分の顔を探すこころみ」と彼は言う。仮面をつけたままでは顔など見つからない。読み手である私たちは「二つの仮面」をまず自覚することから始めなければならない。2019/10/30

Ikuto Nagura

4
「私のまわりの総ての人々が不幸なのだ。仕合せは創らなければ出て来ない。闘い取る以外に幸福なんてあり得ない。私達は譬えようもなく貧しいのだから」「大人達が言う人生の闘いに、勝てばだんだん淋しくなって行くだろうし、負ければきっと淋しいことも分らない程に惨めになって行くに違いない。その岐れ道に立たされて、どちらの道へも行かない生き方はないのだろうか」「総ての人々が去っていったあと、私は津村孫次郎の子という事実だけを背負って一人で立っている。背負うことを拒否して、その為にこそ闘ってきたと言うのに」闘争という彷徨…2015/06/20

NEWJPB

2
堤清二の若い頃を描いた作品。純粋な自伝でないのはどの点だろうか。共産党の国際派に属して批判されて除名されるという経験は大体は事実だと思うが、結核で病院に入っている最中に看護師とやっちゃう(恋仲になる)というのは、微妙に変えているところだろう。後年の「いつもと同じ春」では、文学をやってた看護師と結婚したが離婚したという設定になっているし。そういう下品な詮索的な読み方をしても結構面白いし、もちろん、真面目に父子関係の問題に対する堤の解答と読んでもいい。私は単に下世話なだけだが。2014/01/07

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