出版社内容情報
後漢末、相続く天変地異、疫病の流行……。黄巾の乱をきっかけに、梟雄・智将が総登場。群雄並び立つ乱世を制するのは誰か。壮大な戦国ドラマの幕開き。
内容説明
乱世の幕開きを告げる黄巾の乱、曹操・董卓・呂布ら梟雄・智将の登場。正史『三国志』、『三国演義』の不備を卓抜な構想力で補完し、群雄並び立つ乱世を雄渾に描き抜いた、陳舜臣文学の偉大な達成。「三国志」の決定版。
著者等紹介
陳舜臣[チンシュンシン]
1924(大正13)年、神戸に生まれる。大阪外語大学印度語部卒業。同校西南亜細亜語研究所助手を勤めるが終戦によって辞職し、家業の貿易に従事。1961年、『枯草の根』により江戸川乱歩賞を受賞し作家生活に入る。69年、『青玉獅子香炉』により直木賞、70年、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』により日本推理作家協会賞、71年、『実録アヘン戦争』により毎日出版文化賞、76年、『敦煌の旅』により大佛次郎賞、89年、『茶事遍路』により読売文学賞(随筆・紀行賞)、92年、『諸葛孔明』により吉川英治文学賞、93年、朝日賞、さらに95年、「作家としての業績」により日本芸術院賞をそれぞれ受賞する。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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三国志とか漫画とかの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
20
図書館本。本書でまず登場するのはおなじみの劉備、あるいは張飛や関羽ではなく、張家五斗米道の陳潜で、太平道の総本山に使者として行く。その陳潜を通して乱世が描かれていく。董卓の長安遷都の描写が圧巻だった。洛陽から長安までの約五百キロの道のりを食もなく、雨露をしのぐ術もなく、百万人ともいわれる数の洛陽人民が歩かされた。火が放たれた洛陽には帰れず、荒野と化した長安にたどり着いても家はない。人を人とも思わない董卓の残忍さが際立っていた。異色の三国志の続きも読んでみようと思う。2024/08/17
taku
19
幸か不幸か、最初に読んだ小説三国志はこの秘本だ。当時は正史と演義の違いも知らず、ゲームや漫画で劉備が主人公&正義だと思っていたから戸惑った。ストーリーや人物像がエキセントリックで、作中に出てくる文献も、かの有名な民明書房的あれではないかと疑いもした。でも何故か納得できて面白かった。のちに日本のスタンダードである吉川版を読み、あれ?やっぱり?となったのは言うまでもない。陳さんがこの時代をどう眺め、史科の謎部分をどう解釈したのか、もう一度じっくり確かめてみよう。2018/02/07
太田青磁
14
冒頭、道教という視点から五斗米道と黄巾族のつながりを描きつつ、主要な登場人物を舞台に配置してゆくような筆致で描かれている。ところどころに歴史書を引用しつつ、作者の俯瞰したコメントが入るのが新鮮で、秘本の名にふさわしく語り聞かされているような感じで進みます。若き日の曹操の野望がどのように描かれるのか続きが気になります。2016/05/11
名駿司
4
★★★☆☆ お盆休みの移動の友にと思って3巻まで借りたが、古い文庫は文字が小さく手強い。やっと1巻読了。前々から読みたかったシリーズなので、時間をかけても読みたい。数ある三国志ものの中でも視点が独特。五斗米道の陳潜という者を主役に置き、浮屠月氏族や商人などを交えて三国志時代を描いている。いっそのこと、さらに弱い庶民をもっと出してほしいとも思うが。『あぁ、こんな視点もあったか』と思わせる作品なので、恐らく三国志初心者向きではない。序盤だからか、陳潜は曹操寄り。曹操派の私には嬉しいところ。洛陽焼討ちまで。2017/08/16
いっぺ
3
曹操がエエもんで描かれてます。今は蒼天航路(漫画)があるからそうそうアンチテーゼな感じはしないでしょうが、当時の私は三国志演義系の解釈一辺倒だったので衝撃的やったのを覚えてます。硬派な解釈で説得力もあるので、蒼天航路しか知らない人は読んでみる価値ありかと。