中公文庫
藪の中の家―芥川自死の謎を解く

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  • サイズ 文庫判/ページ数 312p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122050938
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1195

出版社内容情報

芥川龍之介の死は、本当に睡眠薬自殺だったのか。処方に疑問を抱いた著者が、主治医の日記、龍之介の書簡などから、真相に迫る。〈解説〉千葉俊二

内容説明

昭和二年七月二十四日未明、芥川龍之介は睡眠薬により、自らの死を選んだ…。しかし、致死量に至る睡眠薬の入手は、芥川の治療のために出された処方によれば困難である―主治医の日記、龍之介の書簡などから、自死の真相に迫る、渾身のノンフィクション。第十七回新田次郎文学賞受賞作。

目次

第1章 三人のS先生
第2章 紫檀の机
第3章 芥川主治医日記
第4章 死へのスプリング・ボード

著者等紹介

山崎光夫[ヤマザキミツオ]
1947年福井市生まれ。早稲田大学卒業。放送作家、雑誌記者を経て小説家に。1985年『安楽処方箋』で小説現代新人賞を受賞。医学・薬学関係に造詣が深い。1998年『薮の中の家―芥川自死の謎を解く』で第17回新田次郎文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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さくら咲く

25
副題:「芥川龍之介の死の謎を解く」の通りお互い心を許し尊敬し合える親しい友、下島勲の日記を解読しながらその謎を解いて行く。下島は当時龍之介の主治医だったひとりである。龍之介の住まいには錚々たる顔ぶれの文化人が引きも切らず訪れている。主治医、下島の家はその向かいにある。日に何度も往診に訪れ龍之介の客人達とも一緒に語らう。その彼も書家であり立派な文化人だ。医療関係に造詣が深い著者ならではの視点で検証して行く。当時の作家達の暮らしぶりも覗け非常に興味深い。満身創痍の龍之介、死に至る苦悩も理解出来なくも無い。2024/01/04

gtn

15
龍之介の自死を引きずるあまり、「或阿呆の一生」の記述を額面どおりに捉える著者。「何の為にこいつも生まれて来たのだらう?」との一節に長男、比呂志の誕生を嫌悪していると決めつけているが、龍之介の照れが分からぬか。子を持つことを悔いているなら、後に更に二人も子をもうけるはずがない。私には、その一文から、自分と同じような苦悩を味わうかもしれないが、この子は己の分身であるとの慈しみを感じる。2019/06/20

小野靖貴

1
芥川龍之介の自死、「ヴェロナールおよびジャールの致死量を飲んで自殺。枕元には聖書があった」と辞書的な簡便な記述だが、著者はその真相(そもそもなぜ死んだのか、多くの薬の入手先は、ヴェロナールおよびジャールとは)に迫った。謎が解けてゆく推理ミステリな感覚もあり、読み進めると人間芥川の姿も、その人間関係もと言った風に多くのが明らかになっていく。三章の芥川主治医日記は著者が主治医の奥さんから預かり受けたもので、その一次資料的価値が非常に高い。あー芥川も、読まなきゃ!(使命感)。2014/08/14

Lieu

0
ページを繰る手が止まらないほど、一気に読んだ。極めて質の高い推理小説を読んだかのような読後感。芥川文学を偏愛し、医学関連の著作の多い著者が、これまでの研究でほとんど顧みられなかった主治医を初めとする芥川周囲の医師たちの手記、家族たちの証言、芥川の書簡、作品を丹念に読みとき、大胆にも青酸カリによる自殺説を立てる。この新仮説が浮き彫りにする、晩年の芥川の人間性、そして一人の人間が自殺を計画し、決行するまでの心境。2019/05/28

linbose

0
☆☆☆2009/06/21

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