中公文庫
女妖記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122050518
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

出版社内容情報

今子という娘、十一号室の女、登山電車の女、桔梗の話、李姿鏡、水戸の狂女、黒縮緬の女、墨東の女、枕さがし、ネルケの花、復讐 〈解説〉高橋洋一

内容説明

出逢った女性たちとの遍歴を描いた知られざる自伝的小説集。女掏摸、虚言癖、金髪美人など様々な“女妖”―魔性の妖気に翻弄され、惹かれていく自らの不条理な心理を艶やかな文体で回想する。永井荷風、竹久夢二、中山晋平、生方敏郎、嶋中雄作などの知友も登場、昭和初期の風俗を活写する。半世紀を経ての復刊・初文庫化。

著者等紹介

西條八十[サイジョウヤソ]
明治25年(1892)年、東京・牛込生まれ。詩人・作詞家・フランス文学者。早大在学中から「早稲田文学」などに作品を発表、「未来」同人となる。大正7(1918)年、鈴木三重吉の「赤い鳥」創刊に参加、童謡「かなりあ」を発表。以後、北原白秋、野口雨情とならぶ大正期の代表的童謡詩人として、多くの童謡を発表した。翌年第一詩集「砂金」を刊行、大正9年、訳詩集「白孔雀」を刊行。大正10年、早大英文科講師となり、大正13年、ソルボンヌ大学に留学、帰国後早大仏文科助教授、昭和6(1931)年、教授に就任。また、流行歌から軍歌まで幅広い分野で作詞家としても活躍し、「東京行進曲」(昭和4年)、「東京音頭」「サーカスの唄」(昭和8年)などがヒットした。戦後は早大を辞し、ランボーの研究に打ち込んだ。日本詩人クラブ初代理事長、日本音楽著作権協会会長など歴任。昭和45(1970)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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駄目男

6
本書は西条八十が66歳の時から書き始めた小品11編を収めた色懺悔みたいな本だった。つまり、11人の女との情痴関係を告白形式で書き連ねたようなものだが、いやはや、西条先生は相当な艶福家であらせられる。今まで抱いた女は数知れず。あれほどの文名を誇ればさもありなんということか。はっきり書かれていないが、おそらく全ての経験は大正期から昭和の初期にかけての話しだと思われる。何分、登場する女性は芸者が多く、中山晋平と全国を仕事で回る傍ら、多くの枕芸者とも親しくなったようだが、ここに出てくる話しはどれも頗る愉快だった。2016/07/13

お萩

5
普通に生活していれば決して体験できないような花の香を贅沢にも少しずつ味わことができる(しかも身の危険は一切なしに)。この馥郁たる花の園を築けたのは筆者の女に対する哀しいまでの優しさだが、それも度が過ぎると笑えてくる。特に変なところで腹を据えるから、いやそこじゃないでしょとなんども突っ込みたくなった。もし自分が男なら登山電車の信子か黒縮緬の女に逢いたい。2015/11/08

ハルト

4
「女」の妖しさと哀れさとが存分に堪能できる短篇集。八十の、女性の魔力にむしろ進んで翻弄されているさまが、ユーモラスでもある。詩とはまた違う魅力のある作品たちだった。ベルリン・オリンピックの描写が興味深い。2008/09/28

ぽん

3
真実か嘘か幻か。魔性の妖気に翻弄されていく己。本人に会ってみたかったと、思わずにはいられません。その時代のことも興味深く読めた。ただ、この詩人の生き方なのでしょうが、妻、という立場が一番きついと思います。でも、笑ってしまう様な物語もありました。2010/07/09

可不可

1
もちろん脚色はあるにしろ、これらの話が事実にもとづいているとしたら、西條八十はなんと羨ましい体験の持ち主なのだろう。「あとがき」を読むと、事実だと感じる。■なぜ事実にこだわるかというと、以前に読んだ本で、出久根達郎が「女妖記は作り話だとにらんでいる」みたいなことを書いていたから。失礼ながら、あまりモテそうにない出久根氏には、作り話に見えるのかもしれない。■ぼくのささやかな体験でも、女性はすべて「妖」であったし、出会い方に「驚き」があったと言える。やはりこの連作には、ちゃんと事実が敷かれていると思う。2024/09/16

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