出版社内容情報
ユーラシアで活躍する遊牧民族と都市文化を花開かせた宋代の中国を活写
内容説明
西欧を凌ぐ科学技術の発達と限界、活発な交易、華麗な都市文化、そして王安石の改革…先進的な宋代社会の光と影。一方、中央アジアの大草原では、後にモンゴルに発展する巨大なエネルギーが育まれていた―異質な文明が交錯した世界の深層を詳述。
目次
第1部 宋と高麗(揺れ動く東アジア;新時代の幕開け;王安石改革へのまなざし;花開く都市社会;新たな大地で―北宋から南宋へ;周辺諸国の変動と中国文明の変容)
第2部 中央ユーラシアのエネルギー(中央ユーラシアの人びと;テュルク‐ウイグルの社会;モンゴル高原の周縁から;モンゴルの足音とともに;現代からの視点)
著者等紹介
伊原弘[イハラヒロシ]
1944年、旧朝鮮大邸(現韓国大邸市)に生まれる。68年、中央大学文学部史学科卒業。同大学大学院博士課程単位取得退学を経て、城西国際大学国際人文学部非常勤講師。宋代を中心とした中国史を研究
梅村坦[ウメムラヒロシ]
1946年、東京に生まれる。71年、東京教育大学文学部史学科卒業。同大学大学院文学研究科博士課程退学、(財)東洋文庫附置ユネスコ東アジア文化研究センター研究員などを経て、中央大学総合政策学部教授。中央ユーラシア史、ウイグル民族史を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
16
前半の宋を扱ったパートが、エッセイ調の文体で評価が別れそう。ときどき「おっ」と思う指摘があるが、そこから突っ込んだ考察に行くわけでもなく、個人的にはちょっとイマイチ。新書や雑誌連載などなら良いかもしれないが、概説書としては不満が残る。反対に第二部の中央ユーラシアの部分はなかなか良い。原書の刊行時期を考えると「中央ユーラシア」という概念で書かれた一般書としては先駆的では。遊牧ウイグルを起点に、モンゴル帝国ー元朝に至るまでの遊牧国家の興亡を簡潔に描いている。後半はおすすめ。2023/02/23
Mzo
13
宋という時代に興味を持ったのは、北方謙三の楊家将・水滸伝がとんでもなく面白かったから。それでこの本を読んでみたら興味深い記載がいろいろあり、「世界の歴史」シリーズを全制覇することとなりました。北方「大水滸伝」は、もちろんフィクションなんだけれど、史実や当時の情勢をかなり踏まえていることを、この本を再読して再認識。そして、中央ユーラシア史も含めて、結局この本がシリーズ中で一番面白かったかも。2021/04/08
coolflat
12
中国・朝鮮・中央アジアの歴史。宋、高麗、ウイグル・遼・西夏・金、大理、カラハン朝・カラキタイの時代を扱っている。記述としては、社会史、生活史?が主で、肝心の政治史に関する記述が少なすぎるのが、個人的には非常にマイナスになる。初学者が世界史を勉強し始める取っ掛かりとして、こういうシリーズものがあると思うのだが、やはり初学者には政治史中心の通史でなければ、理解しづらいし、なにより面白くない。ただ、中央アジアについての記述が多いので、その点では新鮮だ。2016/05/27
Mana
7
中国の歴史の中であまり目立つことのない宋だけど、科挙の完成など近代中国の原型は宋の時代にできたと著者は語る。隋唐時代の律令制、貴族政治から儒教と科挙の世紀に入っていく。宋の制度などの話は一緒に読んだ「五代と宋の興亡」よりこっちの方が分かりやすかった。(あっちは歴史を時系列に語ってくれてるので、それはそれで良かった。)タイトルにつく通り、後半半分は中国を離れて中央ユーラシアの話。2020/12/13
KAZOO
7
旧版の世界の歴史では、定評のある宮崎市定さんが書かれていましたが、今回もそれに劣らず詳しく面白い歴史になっています。宋時代には結構中国の芸術が花開いた時代で興味をかなり持っていますがそれに応えてくれています。2013/08/04