出版社内容情報
パソコン、電卓、天秤、時計――技術の進歩で変わる道具、変わらない道具。森博嗣が仕事や趣味の道具に愛惜を込めて語るエッセイ。物に仮託しながらも、思考法や発想にまで言及した好著。
内容説明
道具や手法ではない。工夫や忍耐など、単なる道筋に過ぎない。人がものを作るときの最も大きなハードルとは、それを作る決心をすることだ―小説執筆も物作りの一つと語る著者が、その発想法を明らかにする。ソフトをハードに語るエッセイ集。
目次
いつからだろう?こんなパソコンどっぷり生活
究極のマウスだボタンは絶対に1つが良い
プログラムどおりに機械が動く、というのが夢だった
計算をすること、これってはたして人間的な行為だろうか?
日本語にはハンディがあると悲観したけれど…
古いものが形良く見えるようになったら、年寄りの証拠
スイッチ、メータ、ランプ、並んでいるだけでどきどき
デザインとは、必ずしも見えるものではない
測らない計ります図る量るとき謀れば諮ろう
すっかり普及した超能力、もう人間の躰の一部?〔ほか〕
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
作家、工学博士。1957年12月7日愛知県生まれ。国立N大学工学部建築学科助教授のかたわら、1996年に『すべてがFになる』(講談社)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している。小説の他に絵本等の著書もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akira
29
道具のフォトエッセイ。 なにものにも拘らないといいつつ、もの凄く道具に拘りあるじゃないか!と言いそうになりつつ。それを胸に秘めつつ。 旋盤やフライス盤、ジグなど、普通の作家さんのエッセイでは出てこない内容満載。工学部だったので、旋盤はもの凄く不思議で高貴な存在として崇めていた(個人差あり)他にも、一つボタンマウス、PowerBook G4、あの頃の憧れに縛られつつ、後継のMacBook Proで感想を書いている。 一見ムダに見える道具への投資、大事か。 「良い道具を持つということは、人の視点を変える」2013/09/10
akira
27
再読。 少し工作に興味が出てきたところだったので、いろいろと実感として共感するものが増えた。良い道具、機構、材料など考えを巡らせるのは楽しい。最近もニッパー一つで思った以上の感動があったところ。 「良い道具を持つことは、人の視点を変える」2017/12/04
akira
21
Kindleにて再読。いまになって気づくネタもあり、感動もあった。旋盤にフライス盤、ジグなど高校や大学にあっただろうに縁がなかったものたち。姿形は見たであろうそれらを浮かべ、少し悔恨する。懐かしいラボでの一幕。いよいよ実験するかとうときに、大ボス自ら旋盤回すぞと言っていたあの時。バイトで忙しかったけど、立ち合いたかったなとふと思い出す。一時の経験が、今となっては得難い。「旋盤は、工作の母と呼ばれる機械である」2015/09/14
hope
19
ものづくりをする人へ「器用ですね」や「本物そっくりですね」などと言わないほうがいい。それは当たり前、前提なのだ。つまり道具や手法ではない。工夫や忍耐などは、単なる道程に過ぎない。 最適の賛辞は「よくこれを作ろうと思い立ちましたね」である。2022/06/30
ヨクト
18
森博嗣さんの工作に関するエッセイ。ぼく自身、製造業の設計者に属するので、ここで紹介されるマシンや工具には多いに関係がある。工作少年が機械の機能に驚き、「何を作ろうか」と想像を巡らすワクワク感。それが日本のモノづくりの原点であり、製造業設計者の根本でもある。2015/09/19