出版社内容情報
地中海から大西洋へ――二つの海をめぐって光と影が複雑に交錯する。大航海時代、燦然と輝いたルネサンス文明を彩る多様な人物たちと歴史を活写する。
内容説明
地中海から大西洋をこえてインド洋や太平洋へ―各国が繁栄と発展をもとめて世界の海をかけめぐり、光と影が複雑に交錯する。ルネサンスと大航海、ヨーロッパに燦然と輝いた時代を彩る多様な人物と華やかな歴史を活写する。
目次
1 新しい時代への眼
2 ルネサンスの春
3 イタリア、地中海の焦点
4 見えるもの、見えないもの―ルネサンス精神の夏
5 くらしのなかのルネサンス
6 ルネサンス、実りの秋
7 かなたへの旅
8 空間と時間をこえて
終章 日本からの発信
著者等紹介
樺山紘一[カバヤマコウイチ]
1941年、東京に生まれる。65年、東京大学文学部卒業。京都大学人文科学研究所助手、東京大学文学部助教授、同教授、国立西洋美術館長を経て、印刷博物館館長、東京大学名誉教授。西洋中世史・西洋文化史を中心に幅広く研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
64
再読。アヴィニヨンの教皇庁跡の見学チケットが栞がわりに挟まっていたから、おそらく中世とかルネサンスに興味を持ち始めたフランス駐在時に一度目を呼んだらしい。おそらく政治史に関心があったのに、人の列伝とか読みにくいなあ、と思っていたかも。で、ある程度の知識を得てから読んでみると、これは相当な名著です。ルネサンスが人間の発見と言われるのが何故か、しっかりと腹落ちするとともに、残虐性の批判に止まらない大航海時代の描写からもインスピレーションを得られます。あと、花田清輝読もう。2021/06/19
佐島楓
47
ルネサンスの定義~大航海時代。細かい知識(特に絵画と服飾)が興味深い。奇跡のような天才たちが集った時代。2016/01/02
白義
23
一冊でルネサンスを概観するための通史に求められる読み物としての面白さと学問的精度を最大限両立させた、このシリーズの責任編集者の一人が執筆したからこそできる高度でしかも読みやすい一冊。船や服飾の技法の発展といった土台から、華やかな芸術家や人文主義者の列伝まで一冊にまとめて、しかもよどみなく止まるところがない。その上で歴史家として東西の偉大な歴史家へのリスペクトと批判精神をも込めているところに、世界史通史の一冊として代表的な一冊を書いてやろうという気合を感じる。このシリーズの中で特に充実した一冊と言えるだろう2019/06/22
崩紫サロメ
20
1996年に刊行された本書、今読み直してみると、ここで樺山紘一が記述していることが、歴史教科書の記述に採用されていると気付き、定説として根付きつつあるのかと思った。時間の流れよ……。ルネサンスという概念の変遷、地中海とオスマン帝国、大航海時代における文明と野蛮など、この時代について知りたい人への入門書としておすすめできる。時節柄、最初の方のペストにまつわる話など、前に読んだときには特に何も思わなかった点についていろいろ考えさせられた。2020/04/02
Hirohito
15
ルネサンスをその始まりから春、夏、実りの秋、そして終焉へと、ビザンチンとイスラムの影響から、ルネサンス時代の庶民の暮らし、新プラトン主義に魔術と錬金術、宗教改革に大航海時代、日本を含む他国への影響まで、あらゆる観点からルネサンスと当時活躍した人々を描いた作品。塩野七生さんの『ルネサンスとは何であったのか』がまさにその問いに答えようとして書かれているのに対し、こちらは、あらゆる面からルネサンスを映し出した、まさに活写したという表現が相応しい作品でした。2013/07/22