出版社内容情報
幕末の会津に、「日本一の学生」と呼ばれたサムライがいた。公用方として京で活躍する秋月悌次郎は薩摩と結び長州排除に成功するが……。生涯刀を抜かなかった文官の生涯を描いた長篇。
内容説明
幕末の会津藩に、「日本一の学生」と呼ばれたサムライがいた。公用方として京で活躍する秋月悌次郎は、薩摩と結び長州排除に成功するも、直後、謎の左遷に遭う…。激動の時代を誠実に生きた文官を描く歴史長篇。新田次郎文学賞受賞作。
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年、栃木県栃木市生まれ。東北大学文学部在学中に、「風船ガムの海」で第三十四回文學界新人賞に佳作入選。同大卒業後、文藝春秋に勤務する。『週刊文春』『諸君!』『オール讀物』『別冊文藝春秋』の各編集部および文藝出版部次長を歴任。その間の87年、『明治新選組』で第十回エンタテインメント小説大賞受賞。91年より執筆活動に専念する。93年、『五左衛門坂の敵討』で第一回中山義秀文学賞を、94年には『二つの山河』で第一一一回直木賞を、2005年には『落花は枝に還らずとも』で第二四回新田次郎文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
43
数年前にKindle版でスマホに落としたが殆ど進んでいなかった。Paperwhiteを買い直し読み進める。会津藩士・秋月悌次郎を主人公とした物語。「会津士魂」でも思ったのだが、立場=視点が変わればこれほど物語は変わるものかと思う。悌次郎の物語ながら当然に対峙した事件・歴史的事実があり、それら一つ一つが当事者のどちらサイドから観るかによって180度回転してしまう。ただ幕末史の場合、回転の中心点、それぞれの理論の中核に同じ「勤皇」があり「本邦」がある。そのアプローチの差が大きな闘争を生むことを改めて考える。2020/10/22
kawa
37
会津藩士で昌平坂学問所において「日本一の学生」と呼ばれた秋月悌次郎が主人公の幕末小説。松平容保の側近として活躍した彼、幕末の会津藩の動きや容保の京都守護職の引き受けの事情が詳細かつ硬派に描かれ、幕末史に興味がある自分としては興味深くも嬉しく読めるアタリ本。会津の主流派の交代により蝦夷地に左遷されるところで上巻は終了。この後の展開にも期待が高まる。(第24回〈2005年〉新田次郎文学賞作品)2025/02/21
aloha0307
25
幕末会津藩士 日本一の学生 と呼ばれた新進気鋭 秋月悌次郎 蛤御門の変後表舞台から謎の左遷... 会津藩は初代藩主:保科正之の教えに雁字搦めだったことがよく分かる 変節した薩摩藩(いま 大河:西郷どん はこのあたり)は許せないだろうな。本書を鵜呑みにはしないが、慶喜は言わずもがな、松平春嶽の自己保身、腑抜けの公卿達にも落胆千万です。いっぽう、条約批准後 矛盾する尊王攘夷・公武合体の間に挟まれながらも、義を貫いた松平容保公の高潔なご人格がとても眩しい。2018/08/19
なつきネコ
16
題名のカッコよさに読んでしまう。そのまま会津藩を表したこの題名センスに脱帽。秋月悌次郎は日本一の学生として、始まったが故に他国の人と多く関わったから京都での活躍だっだんだな。松平春嶽、徳川慶喜が風向きが変わると逃げる者がいる中で最後まで京都にいた容保様の美しい凛々しさ。いかに名君が続き会津の民を守ってきたかと書かれるたびに、守護職の為に重税をかけて民心が離れていく痛々しい。上巻は蛤御門の変まで、こここらの会津の辛さは知っているが、その中で悌次郎はどうするのか、下巻の悌次郎はどうなるのか楽しみだ。2019/08/10
さっと
13
幕末の会津藩士・秋月悌次郎は藩校の日新館の秀才で、江戸遊学では昌平坂に学び、帰国後は藩命による西日本諸国の巡覧、そして藩主・松平容保の京都守護職の任命を機に公用方として激動の京へ。作者もあとがきで「武官の活躍ぶりは、戦闘場面などを折りこんでゆくと比較的書きやすいのですが、文官は動きが少ないため書きにくい面が多分にあります」と書いているように派手さはないものの、魑魅魍魎の京の地で、愚直と言いたくなるぐらいの会津主従の働きが映えるようです。会薩同盟の立役者から一転、左遷で蝦夷地へ。にわかに親近感がわく。2020/04/21
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