出版社内容情報
「肥後もっこす」そのままに、医学に情熱を傾ける北里柴三郎は渡欧後、世界的細菌学者コッホの下で破傷風菌の発見・培養と血清療法の確立に成功する。
内容説明
第一回ノーベル賞を受賞するはずだった男、北里柴三郎。その波瀾に満ちた生涯は、医学を志した時から始まった。「肥後もっこす」そのままに、医学に情熱を傾ける柴三郎は渡欧後、世界的細菌学者コッホの下で破傷風菌の発見・培養と血清療法の確立に成功する。日本が生んだ世界的医学者の生涯を描く。
著者等紹介
山崎光夫[ヤマザキミツオ]
1947年福井市生まれ。早稲田大学卒業。放送作家、雑誌記者を経て小説家に。1985年『安楽処方箋』で小説現代新人賞を受賞。医学・薬学関係に造詣が深い。1998年『薮の中の家―芥川自死の謎を解く』で第十七回新田次郎文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロボット刑事K
12
北里柴三郎をご存知ですか?私が尊敬する医学者で、破傷風菌の純粋培養や、ペスト菌の発見、血清療法の発見など、素晴らしい業績を残し、近代医学の父と呼ばれた人なのですが、今一つマイナーなのが残念です。令和6年から千円札の肖像画になる事が決まってるのですが、柴三郎の弟子でありながら医学者として大した業績も残さず、酒と金にだらしなく、持参金目当てに婚約して、結局他の女とくっつくなど性格破綻者の野口英世が先にお札に採用されてるのも解せません。全然本の感想書いてませんね。☆3つで。下巻はちゃんと感想書きます。多分ね。2023/01/20
長岡紅蓮
9
新紙幣の顔となる北里柴三郎の生涯を追った小説。特に印象に残ったのは、内務省からドイツ留学して陸軍軍医監の石黒から指導教授の交代を言い渡される場面(173〜)。留学をさせてもらっている立場ではあるが、官命に背いてまでも自らの使命を貫こうとする姿勢が凄まじい。2020/02/24
うたまる
4
明治日本が生んだノーベル賞級医学者、北里柴三郎の伝記。小学生相手の偉人伝ではないため、北里の面倒臭い性格、癇性や暴言癖なども採録されているのが嬉しい。「男子たるもの、そぎゃんこっではほんなこっ嘆かわしかっ」「わしは、覚悟はできとっ。もう決めたったい」など、教師や上司相手によく無事に済んだなと冷や冷や感を愉しんだ。上巻はベルリン留学まで。欧米での数々の好条件を断り帰国の途に着く。日本が発展したのは、彼のような先達のおかげだ。途上国では留学先に永住する者が多いが、日本人は皆帰国し国に尽くしてくれた。有難いね。2016/07/04
うろたんし
4
薬理学の教授が北里柴三郎に興味を持ち始めたと話してくれたので僕も便乗して彼に関する書籍を読むことにした。予想はしていたが登場人物一覧に森林太郎の名を見たときはそれだけで興奮した。内容は北里柴三郎の学生時代以降。「暫しも怠るな」というコッホの言葉を胸に尽力する姿に打たれた。2016/06/15
yuka_tetsuya
2
破傷風菌の純粋培養、ツベルクリンによる血清免疫療法など、細菌学の礎を築いた北里柴三郎の人生が軽快に描かれている。医学部時代に学んだ細菌学の歴史と明治維新の歴史に登場する人物が人生の交差点で交わる史実は、架空の小説より数段面白い。明治人らしく、しっかりと自分の考えを持ち、一心不乱に理想に向かう姿に鼓舞される。コッホの口癖「しばしも怠ることなかれ」。これまでこの姿勢で研究をしてきただろうか?猛省させられる書であった。下巻が楽しみ。2013/03/30