中公文庫<br> 肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見

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中公文庫
肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見

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  • サイズ 文庫判/ページ数 220p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122049031
  • NDC分類 361.42
  • Cコード C1110

出版社内容情報

欧米人は、なぜ動物をと畜する一方、動物を愛護する? 欧米思想の原型を歴史的・地理的条件からくる食生活に見る、西洋史学の問題作。〈解説〉月尾嘉男

内容説明

欧米人は、なぜ動物をと畜して食う一方、動物を愛護するのか?本書は、ヨーロッパ思想の原型を、歴史的・地理的条件に由来する食生活の伝統に求め、それに基づき形成された思想的伝統を明らかにし、日本とも比較しながら平易に説く。食という新しい視点で西洋の歴史を見直す、西洋史学究の問題作。

目次

1 ヨーロッパ人の肉食
2 牧畜的世界ヨーロッパ
3 人間中心のキリスト教
4 ヨーロッパの階層意識
5 ヨーロッパの社会意識
6 ヨーロッパ近代化の背景

著者等紹介

鯖田豊之[サバタトヨユキ]
1926年生まれ。1952年、京都大学文学部史学科卒。京都府立医科大学教授を経て、同大学名誉教授。専攻は西洋中世史、比較史。2001年10月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

YúKa(ユーカ)@ハガレン読み終えました

5
一ヶ月前、ヨーロッパとは何かということに興味を持ち、図書館で借りた。感想は結論から言えば、最初から最後まで目から鱗と「理解できない」の連続だった。人間と動物を隔てる思想は最初、「わからないでもないな」と思ったが、それが人間さえも完全と劣等に二分し、身分意識を堅固なものにしているということまでは納得できなかった。受けいれることを拒んだのか、理解できないあまり、頭が真っ白になってしまい、頭に何も入らないまま読んでいた。

デビっちん

5
ヨーロッパ思想の根底には、人間と動物を明確に断絶する人間中心主義があり、肉食という風習と、キリスト教的思考が妥協する必要から発生した苦肉の戦略。ヨーロッパの食生活の特色は、主食と副食がないこと。食生活パターンの食い違いは、そのまま思想の食い違いであり、そのことによって日本は完全に欧米化できない。食事は文化であるという観点を見直し、米食を再度認識すべきと著者は考えている。食生活パターンがいかに思想形成と密接にからみあっているかが記載されている。2015/04/06

Metonymo

4
明治維新、第二次大戦後と西洋文化を取り入れてきた日本だが、個人の人権や自由、民主主義といったものが、なぜ理解・受容されにくいのかを食生活パターン、米食とパン食・と畜の成り立ちや生産性との関係で読み解く。「人間の尊厳を維持するために、動物との断絶をあらゆる面で強調せざるを得なかったヨーロッパ的条件は、キリスト教以上に根深い」輪廻思想と個人の主体など、興味深い論点が多数ある。2013/05/25

hit4papa

4
本書は、日本人の立場で、ヨーロッパの思想的伝統を解明する試みです。食という尺度を用い、深い知識と洞察力で著された比較文化論となっています。日本のリーダたる人に読んで欲しい名著です。

yuyuko00

3
論理構成が非常に明快で、また章の始まりには前章の要約がはさまれるという工夫がされているため、とても読みやすくわかりやすい構成になっている。これまで欧州=個人主義、日本=共同体主義といったイメージがあったが、実は食文化から醸造された社会意識から欧州のほうが伝統的に共同体主義な傾向が強く、むしろそのために激しい個人主義が生まれた、という部分に新鮮さを感じた。この考え方がまた別の食文化をもつ文化圏でも当てはめることができるかどうかにも興味を持った。2012/05/05

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