出版社内容情報
天職につくのは本当にしあわせか? 心霊写真の幽霊はヌードのはず? 「キティちゃん」の顔に口がないのはなぜ? 古人の思索を楽しく追体験しながら、明日を生き抜く力を育てる本。
内容説明
天職につくのは本当にしあわせか?心霊写真の幽霊はヌードのはず?「キティちゃん」の顔に口がないのはなぜ?中国古典の名句を材に、古人の思索を楽しく追体験しながら、明日を生き抜く力を育てる本。
目次
第1部 内面と外面(自分という奇跡をかみしめよう;自己はどこまで他者を理解できるか;現実と幻覚はどこまで区別できるか;この世のすべては言葉で表せるか;魅力と恐怖の秘密)
第2部 あの世とこの世(死後の世界はあるのか;死者は二度殺してはならない;生まれてくる不思議、死んでゆく意味;老いるということ;姥捨山と二十四孝)
第3部 自然と宇宙(大自然の掟;宇宙人の目;推移の感覚)
第4部 自分を生かす(学問の落とし穴;教養教育と専門教育;リーダーの条件;世に出る)
第5部 文明のからくり(政治という怪物;文明の明と暗;中国古典の戦争論)
著者等紹介
加藤徹[カトウトオル]
1963年東京に生まれる。東京大学文学部、同大学院で中国文学を専攻。広島大学総合科学部助教授を経て、明治大学法学部准教授。著書に『京劇―「政治の国」の俳優群像』(中公叢書、サントリー学芸賞)など。また「嘉藤徹」のペンネームで、小説も執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
jam
59
再読。平易な文章で綴る、漢文の入門書。ひとつを深く掘り下げることは、多岐を掘り下げることに他ならない。枝分かれしている学問は、深くなるほど合間みれる。数多の流れが、ひとつの源流に遡れように。古典には、既に答えがある。時代が移ろっても、人の迷いは根源的なもので、物質文明は虚ろなのかも知れない。ただ、私たちは此処に生きねばならないことも事実だ。私は私の道を掘り下げることで、少しでも源流に辿りつきたいと願う。遥か遠い時代に、まるで神の視点から、紡がれた漢字の宇宙。今を生きるために必要な総てが、ここにある。2016/04/17
しゅてふぁん
47
そういえばこれまでは漢詩しか読んでいなかったとこの本を読んで今更ながらに実感した。紀元前から現代まで、本当に何も変わらない。ちょっともう、びっくりするくらい、根本的には全く変わっていない。所々に同じような内容の金子みすずの詩が紹介されていた。かな文字特有のやわらかさや、詩意をふわっと匂わせるような言葉の羅列が漢文とは対照的で、こうやって比較できるのはとても有難いし興味深い。言葉って面白いな。先ずは手元にある孫子を、その次は荘子を読む予定。その際にはこの本も参考してに読んでいこう。2019/02/14
ひと
15
漢文、国語で習った以外はほとんで触れてこなかったのが残念で仕方ない。当たり前のように『論語』は聞きかじっているが、春秋時代が2500年以上も前ということを考えると、さらにその重みを感じる。読み下し文でしか理解していないが、漢字本来の意味を考えれば、もっと広く深く読むこともできるはず。論語に限らず、数多くの文献が残されていることに今更ながら驚きと感謝。ちゃんと漢字の意味を考察しながら、改めて文献に触れてみたい。さらには、印刷物ではなく、史料として残っている毛筆漢文も読めるようになってみたい。2025/10/19
べる
12
漢文力とは、漢文を読み、そこに展開されている古人の思索を追体験することで身に付く力。日々の生活での悩みや困難を、先に経験している古人から学び、人生を切り開くヒントを拾うことができるという。寓話「知魚楽」から、自己と他者が同じ場所にいても知覚しているのは違う世界かもしれないと学んだり、『三国志』の曹操から、世間に自分の才能を売り込むために権威に屈するのではなく権威を利用することを学んだり。人間の奥深さを知れるという京劇にも興味をもった。気に入った漢文を筆写と朗誦し、身近な事柄を例に論じて、漢文力を高めたい。2025/10/30
rokubrain
12
人間の知恵の宝庫。 我々日本人がせいぜい聖徳太子のいた紀元500年くらいまでしか遡れないのに対し、さらに1000年ほど昔の紀元前500年前後の500年間、中国の春秋戦国時代から、既に孔子をはじめとする先人たちは考えていた。 今に生きる我々と同じことや、もしかするとそれ以上の今我々が気づいていないことまで。 彼らの思想思索は問題発見、提起から既に彼らが導いた答えやヒントが遺されている。 そこには現代の我々にも間違いを軌道修正してくれる真理があることを示していて、さらに驚かされた。2019/04/07




