中公文庫
黒い本 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 346p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122048621
  • NDC分類 933
  • Cコード C1197

出版社内容情報

レジナ・ホテルを舞台に展開される淫蕩と無頼の世界ーー。あまりにも熾烈な背徳のゆえに半世紀にわたって半ば発禁の書とされたダレルの処女作。

内容説明

ヘンリー・ミラーをして「チョーサーよ、シェイクスピアよ、くたばるがいい!この本によって宣言された、先駆的宇宙に栄光あれ!」と叫ばせた本書は、レジナ・ホテルを舞台に展開される淫蕩と無頼の世界を描いた自伝的小説。二十数年にわたって半ば発禁の書とされ、暗澹たる絶望と熾烈な背徳の世界を現出している知られざる名著。

著者等紹介

ダレル,ロレンス[ダレル,ロレンス][Durrell,Lawrence]
1912年生まれ。アイルランド系イギリス人。38年自伝的小説である『黒い本』を処女出版、T・S・エリオットに認められた。第二次世界大戦中は外務省の広報官としてカイロ、アレクサンドリア等に勤め、詩作に力をいれてきたが、57年から60年にかけて著した恋愛小説『アレクサンドリア四重奏』(「ジュスティーヌ」「バルタザール」「マウントオリーヴ」「クレア」の四部作)によって世界的名声を得る。ほか戯曲、紀行文など多彩な著作活動を行う。ヘンリー・ミラーと親交を結び、往復書簡も出版された。1990年没

河野一郎[コウノイチロウ]
1930年、大阪生まれ。東京外国語大学・フェリス女学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yozora

10
暗くて、湿っぽくて、歴史すら足を止めてしまったかのような雪の世界。陰鬱な雪景色は、僕らの生ける現実そのものだ。問題はどうやって、星座に沿って歩き始めるかだ。ずっと雪に曇っているというのに。ベツレヘムへ渡ってみるがいい。きっと人びとがはっきりと聞かせてくれるだろう。はたしてこれはキリスト降誕の前なのか、それとも検死解剖なのかを!2019/02/13

ゆき

10
むり。純文学だから私には無理でした。エロばかりですよー。2015/12/10

rabbitrun

4
内容も文章も混沌そのもの。これが後の華麗な作品に脱皮すると思うと興味深い。が、著者のファンでなければ読むのはきついだろう。2015/09/23

okadaisuk8

3
ヘンリー・ミラーの影響下にある(後書きを見ると実際筆者はミラーを尊敬し、文通もしていたとのこと)、ストーリーがほとんど無い、思考がずらずらと続く小説。新年早々読むのに苦労する本を選んでしまった。性的な用語がやたら出てくるが、行為を書き込んでいるわけでもなく、エロさはないです。正直、ちゃんと読み込めたか自信ない(笑) 2017/01/14

3
移り変わる一人称の中でたゆたいながら、豪奢で猥雑な世界に存分に浸かったような心地です。己の迷走すら作者の意図の通りではないかと思わされるような精緻さと、時に吐き気すら感じる生々しさの中で、愛すべきタークィン、尊敬すべき屍のグレゴリーのふたりが、とても鮮烈に、痛切に感じられました。終わってしまうのが残念でありながら、これ以上は食べられない濃厚さを感じる一冊です。2014/11/06

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