中公文庫
軍旗はためく下に (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122047150
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

陸軍刑法の裁きのもと、故国を遠く離れた戦場で、弁護人もないままに一方的に軍律違反者として処刑されていった兵士があった。理不尽な裁きによって、再び妻とも恋人とも会うことなく死んだ兵士の心情を、憤りをもって再現し、知られざる戦場の非情を戦後世代に訴える、直木賞受賞の著者代表作。

著者等紹介

結城昌治[ユウキショウジ]
1927年(昭和2)、東京に生まれる。49年(昭和24)早稲田専門学校を卒業し、東京地検に勤務したが、結核が発病し3年間の療養生活を送った。59年(昭和34)短篇「寒中水泳」によって認められ、『ひげのある男たち』『ゴメスの名はゴメス』等を執筆し、ユニークな推理作家として注目された。70年(昭和45)、「中央公論」に連載した『軍旗はためく下に』で第六十三回直木賞を受賞。96年(平成8)1月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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遥かなる想い

173
第63回(1970年)直木賞。 陸軍刑法の裁きのもと、軍律違反者として 処刑されていった兵士たちの物語である。 兵士の憤りのようなものが、現代に蘇る。 軍隊の暗い面を 丹念に描いた短編集だが、 一方的に 処刑された兵士の憤怒のようなものを感じる…そんな作品だった。 2018/09/02

コットン

25
VCさんから、お借りしている本。結城昌治はハードボイルドの『ゴメスの名はゴメス』の印象があったが、この本は単なる戦記ものかと思いきや戦争の名の下に横暴がまかり通り、市井の人々の悔しい思いを白日の下にさらしたフィクションだが(本書の筆者あとがきに「講和恩赦の際、恩赦業務の経験で軍隊の暗い部分が脳裏に焼きついた」とある。)現実もそんな不条理なものだったのだろうと…。2012/11/24

ネムル

16
敵前逃亡、司令官逃避、上官殺害等々。一口に戦死といっても敵兵に殺されたり、飢えと病で死ぬだけではない。これらの罪で死刑に処され、歴史の表から葬られたものもまたいる。あまりに無責任で愚かしい。戦後二十年以上経てからの回想・インタビュー形式での語りは苦渋に満ちているだけでない、どこか愚かしさへの恥のような意識も避けられない。「それが愉しい思い出なら伺います」、この一言に尽きる。2017/03/08

ひよこまめ

12
「敵前逃亡・弄敵」、「従軍免脱」、「司令官逃避」、「敵前党与逃亡」、「上官殺害」。元軍人へのインタビューと語りで綴られる、5つの戦争の話。内容は悲惨でグロテスクなシーンもありますが、小説としては読みやすいので、戦争について学ぶ際のイメージ作りに役立ちそうです。2014/04/24

浅木原

7
戦時中、軍紀違反で処罰された兵士たちの物語を、生き残った者たちへのインタビュー形式で追う短編5編。どれもこれも重苦しい話だけど、中でも一番エグい「敵前党与逃亡」が頭ひとつ抜けた傑作。「藪の中」スタイルのミステリ形式の導入によって、〝証言〟の不確かさが浮き彫りにされることで戦争に対する語り手それぞれの受け止め方を描き分けつつ、それぞれの視点で〝真実〟が姿を変えていった果てに待ち構える暗澹たる結末が、わかりやすい明言を避けてるが故にずしりとした読後感を残す。テーマ性とミステリ性の融合の精華に挙げたい。2017/04/03

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