出版社内容情報
明治とともに一大躍進がはじまる。この偉大な建設の時代を全力で生きた先人たちの苦悩と行動を、中央・地方を問わず民衆の最基底部から見つめる。〈解説〉江井秀雄
内容説明
明治政府の本質は有司専制にあると見きわめたとき、士族民権家も、都市ジャーナリストも、豪農運動家も、自由の伸張・民権の拡大を求めて猛然たる闘いを開始し、政府は政権の安定と永続のための装置づくりに没頭する。帝国議会開設に至るこの白熱の歳月を民衆の基底部から描き出す。
目次
地方巡幸
村の維新・村の開化
自由民権
帝都繁昌記
請願の波
大隈財政
ゆらぐ明治政権
幻のクーデター
北海道開拓
自由党は抵抗する〔ほか〕
著者等紹介
色川大吉[イロカワダイキチ]
1925年(大正14)千葉県生まれ。43年東京大学文学部入学、海軍航空隊員を経て48年同大学文学部国史学科卒業。中学教師、商工会書記、新劇の劇団等から歴史研究に復帰。『明治精神史』で民衆史の開拓者と目される。東京経済大学名誉教授。プリンストン大学や国立歴史民俗博物館の客員教授なども務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
105
色川大吉氏の力作であると思われます。五日市憲法を発見した(この本の第一版を書いた後に)色川さんが、地道に資料に当たり書かれたもので歴史書ばかりではなく読み物としても第一級の本だと私は思います。特に山県有朋や資本主義創世記というところは本当に読む価値があります。地道に自由民権運動を行った人々について、温かな目があります。2015/11/05
訪問者
7
1878年(明治11年)ペテルブルグからシベリアへと向かう榎本武揚を描く所から本書は始まり、帝都繁盛記、北海道開拓という印象的な章をはさみながら、アジア最初の議会、そして日清戦争へと向かう所で幕を閉じる。2023/02/01
しびぞう
5
今の所このシリーズの中で一番面白いという感想。どうやったらこんな文章を書けるのだろう。どれほど勉強して研究して史料を見たら、こんな文章を書けるのだろう。あまり興味を持つことがなかった明治初期が気になってきた。凄い。60年くらい前に書かれた本だというのに、新鮮で、凄い。2022/09/30
takashi1982
5
自由民権運動の際には教科書にも登場する「五日市憲法」を発見した色川大吉は民権運動史の第一人者である。その色川が1960年代当時の最新研究をふまえ、この時代史を書いた話題の本である(そうだ)。まず時代史にも関わらず、文章が上手いから歴史上の人物が生き生きと描かれる。これは中公版「日本の歴史」に共通する、歴史の大家たちが本気で書いた通史の最大のウリだろう。2012/11/21
takeshi3017
4
中央公論の歴史本第21巻。時代は明治。憲法制定と国会開設の請願、がこの本の主軸となっている。自由民権運動は1874年(明治7),板垣退助らによる民撰議院設立要求に始まり,国会期成同盟を中心に全国的に広まった。運動は81年,10年後の国会開設を約束する詔勅を引き出し,自由党や立憲改進党などの政党結成へと進んだが,政府の弾圧強化と運動内部の対立,福島事件や加波山事件など激化事件が相つぐなかで衰えた。板垣退助も演説中、暴漢に襲われ重傷を負うが、「板垣死すとも自由は死せず」などと言ったというのはデマであった。(→2024/03/14