出版社内容情報
19世紀半ば、キエフに現れたスラブの謎の美女ドラゴミラは次々と貴族を篭絡し、異端信仰の生け贄に。愛憎渦巻く官能と狂気の世界。
内容説明
キエフとその周辺を舞台に繰り広げられる一大スペクタクル。青年士官ツェジムは再会した幼馴染ドラゴミラの美しさに心を奪われるが、彼女は異端信仰に身を捧げていた。折から謎の殺人事件が続発。目的は魂の救済か?ツェジムを愛する可憐な少女アニッタの運命は?めくるめく官能と魂の飢えを描く、ジル・ドゥルーズが絶賛した暗黒小説の傑作。
著者等紹介
ザッハー=マゾッホ,レオポルト・フォン[ザッハーマゾッホ,レオポルトフォン][Sacher‐Masoch,Leopold von]
1836~1895。オーストリアの作家。二十歳で歴史学の大学講師となるが、故郷ガリツィアの農民やユダヤ人への共感から創作の道に入る。急激な科学・技術の発展を魂の危機と見なす人々、土着信仰や秘教に救いを求める東欧の精神風土を描き、取り上げた状況と問題は現代にも通じる。その特異な性愛の表現からマゾヒズムなる語が作られたが、一方で社会の改革を訴える啓蒙家でもあった
藤川芳朗[フジカワヨシロウ]
1944年愛知県生まれ。東京都立大学大学院修士課程修了、独文学専攻。横浜市立大学教授
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感想・レビュー
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刳森伸一
5
マゾの語源ともなったマゾッホによる一大活劇。魂の救済を目的としたカルト教団の女性幹部ドラゴミラを中心に、ドラゴミラの標的となったソルテュク伯爵、ドラゴミラの幼馴染のツェジム、そしてツェジムを慕う可憐な少女アニッタなどが織りなす愛と陰謀と狂信と倒錯と殺人の狂乱。それだけでも十分に面白いが、要所要所に挟まれるマゾヒズムの発露と倒錯が物語に更なる陰影を宿し、暗黒小説の大伽藍として聳え立つ。こんなに血沸き肉躍る小説は久しぶりだった。傑作。2021/02/10
PukaPuka
2
いやはや、マゾッホの大スペクタルでした。映画化してほしい。2020/09/08
GMK
1
同じマゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」、サド侯爵の「悪徳の栄え」「美徳の不幸」など読んできたが、この本の扱っているM性には、これらと比べてもあまり感情移入できなかった。 面白くは感じなかったが、世界は広がったかなという感じ。2009/05/31
勉誠出版営業部
0
レオポルド・フォン・ザッハー=マゾッホの『魂を漁る女』を読了。謎めいた教団に所属する女・ドラゴミラと、その幼馴染である主人公・ツェジムを中心に、キエフを舞台に展開される物語。『毛皮の~』のような、いわゆるマゾヒズム的な描写もあるものの、基本的にはサスペンス調で進んでいく。序盤で登場する、ツェジムが心を惹かれる少女・アニッタが、後半になって大活躍するところがなかなかに格好いい。2015/09/25
angelooo7
0
マゾッホの小説は読みやすい。2014/08/17