出版社内容情報
日本に伝わるさまざまな「ゆうれい話」を通して日本人の霊魂信仰の本質を明かす民俗学者の幽霊研究。巻末索引付。〈解説〉堤邦彦(京都精華大教授)
内容説明
われわれの考えている常識的な幽霊は、昔の日本人の実際生活において見聞したものとはだいぶへだたりがあって、ある傾きを生じたものが、その方向に向かって、民俗生活を置き去りにして独走してしまったのだ―『古事記』から『源氏物語』、歌舞伎芝居に世間話。日本に伝わるさまざまな「ゆうれい話」を通して日本人の集団感覚について考察し、霊魂信仰の本質を明かす「生活史のなかのフォークロア」。巻末索引を付す。
目次
幽霊の季節
幽霊と妖怪
場所に出る妖怪
人を目指す幽霊
家に憑く怨霊
浮動する霊魂
幽霊出現の理由
著者等紹介
池田弥三郎[イケダヤサブロウ]
1914(大正3)年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部予科に入り、のち文学部国文学科に転科、はじめて折口信夫の講義を受ける。国文学科卒業後大学院に進み、以後折口没年まで、塾中等部などの教壇に立ちつつ講義を受ける。41(昭和16)年応召、46年1月帰還。NHK解説委員、国語審議会委員などのほか横綱審議会委員をつとめる。61年文学部教授となる。80年3月退任して、慶応義塾大学名誉教授、洗足学園魚津短期大学教授となる。82年7月没
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感想・レビュー
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7ember
3
「ゆうれい」には二種類あって、怨みを持ってある特定人物に憑いて出るのが「幽霊」、そうではなく特定の場所に紐づいているのが「妖怪」だという。悼まれる側/悼む側で視点は逆だがフロイトの「喪」と「メランコリー」の区別を思い出す。面白かったのは亡くなった先妻が嫉妬して、夫ではなく後妻に祟るのは「女心」というよりも、平安文学にみられる正室と側室の対立という感情構造が、家族制度が更新された後の夫婦関係に投影されたのだという分析。2023/09/25
Gen Kato
3
今昔、源氏など古典中の古典から各地の民族伝承、御霊信仰の実例まで、さまざまな幽霊譚が扱われ、丹念に論じられているが、やはり抜群に面白いのは、作者が実際耳にした幽霊・妖怪譚。徳川夢声の著作にもあった田中河内介の話とか、かなり怖いです。2013/08/20
Jimmy
2
これが出だしから超面白く、超読みやすい。幽霊と妖怪はどう日本人の暮らしの中で変容して行ったのか?一気に読んでしまった。「妖怪」と「幽霊」の違いを見いだす、民俗学的アプローチそのものも面白いが、「源氏物語」が何人かの手によって今に伝わる形に変容して行った、というのが定説、と言うこと自体にも驚いた。2010/05/21
灰月弥彦
1
掲載している怪異譚の種類が今昔物語から昭和まで幅広い。2010/05/22
まる
0
勉強になった〜!2016/12/17
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