内容説明
「花鳥風月」に代表される日本文化の重要な十のキーワードをとりあげ、歴史・文学・科学などさまざまな角度から分析、その底流にひそむ「日本的なるもの」の姿を抉出させる。著者一流の切り口が冴えわたる、卓抜の日本文化論。
目次
第1章 山
第2章 道
第3章 神
第4章 風
第5章 鳥
第6章 花
第7章 仏
第8章 時
第9章 夢
第10章 月
著者等紹介
松岡正剛[マツオカセイゴウ]
1944年、京都市生まれ。編集工学研究所所長、帝塚山学院大学教授。二十代で創刊した雑誌『遊』によって、日本のアート・思想・メディア・デザインに大きな影響を与える。その後、独自の方法的世界観を編集工学として確立、その研究成果を著作・映像・マルチメディア・インターネットなど斬新な手法で発表した
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきよ
64
専門的な見地からは到達し得ないテーマなのかもしれない。松岡氏の著作を読むと毎度のことだが解釈の妥当性の検証或いは純粋に好奇心から、より重層的に枝葉が広がるのはまんまと氏の思惑に乗せられているということだろう。2015/10/25
優希
46
日本文化ならではの事柄を10のテーマに分けて解説しています。風物、季節、感覚。言葉にすれば簡単なことも、掘り下げていくとそれぞれに風情があるのを感じます。2021/02/14
kana
23
花鳥風月をめでる日本人の美意識の根底にある世界認識とはどのようなものなのか、文字通りの博覧強記ぶりを発揮して著者が紐解いていく力作。神や仏をシステムとして捉え、花鳥風月はマルチメディアであると説明する斬新さがまずたまらなく魅力的である上、昔からある言葉の語源が1本の筋で繋がるようなアハ体験的驚きに満ち満ちていて、難しいのにその謎を解明したい思いで、特にラスト数章は一気に読みました。我々はいつもここでない何かとの繋がりを感じているという話は非常に共感できて、千年の時を経ても変わらない認識の普遍性を感じます。2022/08/15
壱萬参仟縁
13
1994年初出。伝統文化学。もともと景気は風景の中の話であり、経営は山水画から来ているとは(40頁)知らなかった。つぼみが満ちて、「張るの季節」こそ春なのだという(225頁)。あらゆる生命が活性化してくるのは、春の特徴なのだが、この冬が厳しかっただけに、なおのこと春が待望された。宮沢賢治の思想も、実は仏陀の四門出遊(東西南北の門)が下敷きになっているという(270頁)。魑魅魍魎(ちみもうりょう 化物、怪物 広辞苑)も出てくるが、民俗、宗教、芸術から経営や経済につながってくる関係性を解明するのは凄いことだ。2013/03/16
白義
12
松岡正剛のなんでもあり感が現れた代表的な一冊。日本の潜在的次元にあって身体感覚まで規定する文化のモードとコードを、オカルティックでペダントリックに浮かび上がらせる万華鏡のような文章が美しい。いろいろな話をしながら、全体は他の世界、それとこちらの境目を幻視するという点で一貫している。うつろいとわびさびという概念の意味を体感できる良書2012/04/12