出版社内容情報
紀元前52年、混沌のガリアを纏め上げた若き王ウェルキンゲトリクス。この美しくも凶暴な男が、ローマの英雄カエサルに牙を剥く大活劇小説。解説・樺山紘一
内容説明
紀元前五十二年、美しくも残忍な若者ウェルキンゲトリクスは混沌とするガリア諸族を纏め上げ、侵略を続けるローマに牙を剥いた。対するローマ総督カエサルはポンペイウスへの劣等感に苛まれていた…。ガリア王とローマの英雄が繰り広げる熾烈な戦いの果てに、二人は何を見たのか。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第六回小説すばる新人賞を受賞。以後『傭兵ピエール』『赤目のジャック』『双頭の鷲』など西洋歴史小説を次々と発表。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』で第一二一回直木賞を受賞
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感想・レビュー
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優希
76
面白かったです。ガリアとローマの王と英雄の戦いは鮮烈であり、その先に何を見るかが描き出されているように感じました。侵略のローマに刃を向けることでその勢いを止めようとしたのでしょう。しかし、力を持つローマにおいてカエサルが劣等感を抱いていたというのが意外です。ローマではなくガリア視点で描く世界史が興味深い作品でした。2018/04/29
ehirano1
61
悩める中年カエサルと復讐に燃える青年ヴェルチンの後世に残る対決の話。両者共に勝敗に一喜一憂しながらの成長が描かれています。彼らを取り囲む人物達についても彼ら同様に苦悩しながらの成長が描かれている点は秀逸だと思います。最終項にも示唆されていますが、カエサルを最終的に帝王にしたのは彼の才能よりも寧ろヴェルチンとの対決という機会があったからこそだと感じました。2016/08/11
ehirano1
52
再読。本書はカエサルvs.ヴェルチンですが、見方を変えると、上を目指す中年上司vs.血気盛んな有能ではあるが反りっ返りの部下、とも見ることも不可能ではありません。しかし、上司が部下を滅ぼしてはなりませんから、「上を目指す中年上司が血気盛んな有能ではあるが反りっ返りの部下をうまく扱うための術」と置き換えます。こういった視線で再読すると、カエサルの心理描写から生まれる彼の考えは上を目指す中年上司にとってのヒントが沢山あると感じました。2016/08/13
goro@the_booby
48
ガリア戦記は読んだことないけど佐藤版ガリア戦記を楽しめた。若きウィルキンゲトリスクはフランスの英雄だったんだな。幼い妻エポナとの最後は胸アツ。それまでは獣のような彼だったのにね。負けた側にも歴史があり誰かが書かねばならない「カエサルを撃て」とウィルキンゲトリスクの叫びが印象的だ。そしてカエサルはルビコン河を渡ってゆくのね。 「ガリア戦記」も読んでみたい。2025/06/03
金吾
29
カエサル暗殺の話と思い購入しましたら全然違う時代でした。カエサルの人物像はイメージとかなり違うので当初面喰らいましたが、それはそれで面白かったです。ガリアからの視点というのも良かったですが、私としてはガリア戦記の方が面白いと感じました。2021/04/18