内容説明
「私は本の奥付の読者である。奥付には文字の羅列があるだけで、読むべき文章はない。それでも私はここに無限の読むべきものを発見して、なが年の読者である。」著者一流の観察眼で、書物の一隅から言論の今むかしを語った「編集兼発行人」ほか、ひとと世間を拡く深く語ったユーモア溢れるエッセイ集。
目次
編集兼発行人(編集兼発行人;毎号及び時々寄贈 ほか)
袖の下(チップ出す人;赤線復活 ほか)
新年と老年(習慣重んずべし;年賀状 ほか)
銭形平次三八〇回(弁償せよ弁償せよ;銭形平次三八〇回 ほか)
人みな飾って言う(人みな飾って言う;電話の片っぽ ほか)
著者等紹介
山本夏彦[ヤマモトナツヒコ]
大正4年、東京下谷根岸に生まれる。十五歳で渡仏し、ユニヴェルシテ・ウーヴリエールに学ぶ。二十四歳のとき『中央公論』に「年を歴と鰐の話」の翻訳を発表する。戦後、工作社を設立し、雑誌『木工界』(現『室内』)を創刊。同誌に「日常茶飯事」、『文芸春秋』に「愚図の大いそがし」、『諸君!』に「笑わぬでもなし」、『週刊新潮』に「夏彦の写真コラム」を連載、最期まで書き続けた。昭和59年に「世相を諷刺しながら真の常識の復権に寄与した」として菊池寛賞、平成2年に『無想庵物語』で読売文学賞、平成10年に市川市民文化賞を受賞した。平成14年10月死去
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感想・レビュー
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garyou
2
自分の知らぬ過去と自分とは思っているほど断絶しているわけではない。犬養毅は西郷隆盛と同時代人で、孫の犬養道子は祖父から西郷どんの噂を聞いたろう、ならば犬養道子にとって西郷どんは他人ではないという旨の文章を読むと、明治は遠い昔のことではない気がしてくる。先祖といえば、自分がいま一生懸命芝居だのなんだのを見ているのは見られなかった先祖のうらみを晴らしているのかもしれない、という考え方にはピンとくるものがある。芝居といえばこの本で「鳴神」を見たことがないとある。二世松緑が復活させる前に書かれたものだろう。2018/04/06
ゆたか
1
『茶の間の正義』よりも一つ一つの話が短いので、こちらの方が読みやすいかも知れない。相変わらず、やや毒の利いたユーモアが溢れる文体である。「大人が子供に無知を期待すると、次第に無知を自慢する子供がふえるようになる」(p.139)は至言。2012/04/12
ちるちる
1
これだけ明快に言われると、毒舌であってもかえって清々しい。斬りに行けば、ずたずたに斬り返されそう。2010/10/27
mitsu
0
物議を醸す話題が沢山。共感する掌編でも、最後は予想外の展開になることもしばしば。電車で読む際は一人笑いに要注意。物事の説明の方法は一通りだけではない・・・面白い視点が多く、とっても勉強になる一冊。しばらく時をおいてまた読みたい。 「君には忠」「人生は短く本は多い」「赤線復活」「銭形平次三八〇回」「年賀状」が印象的。 2013/06/14
しろ
0
タイトルがちと地味か、と思いきや、成程。こんな素敵な解説が付されたのが、よりによってこの本ですってよ、山本さん。乾杯。2013/03/25
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- 電子書籍
- できる男は超少食