出版社内容情報
ベトナムの戦場でネズミを食い、ブリュッセルの郊外の食堂でチョコレートに驚愕する。味の魔力に取り憑かれた小説家の世界中での美味との出逢い。
内容説明
ベトナムの戦場でネズミを味わい、ブリュッセル郊外のレストランでチョコレートに驚愕する。アマゾンの奥地でピラーニャの刺身に挑戦し、ニューヨークではソフト・シェル・クラブをポン酢にからめて頬ばる。味覚の魔力に取り憑かれ、旅に暮らした小説家が世界各地での美味との出逢いを綴る。
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930(昭和5)年、大阪市天王寺生まれ。大阪市立大学在学中、いろいろの職業につき、卒業後、寿屋(現サントリー)の雑誌『洋酒天国』を編集。57(昭和32)年、「パニック」「巨人と玩具」「裸の王様」を発表。翌年、第三十八回芥川賞受賞。人間の原点と社会の組織に目を向け、現代社会と取り組むエネルギッシュな作家的姿勢を一貫して保つ。89(平成元)年没
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感想・レビュー
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syaori
51
開高健が食について語るエッセイ。驚くべきはその体験の豊かさで、ベトナム戦争のさなかに食べたネズミの話から始まって、ベルギーのレストランで味わった最高峰のチョコレート、アマゾンのピラーニャの薄づくり、日本の山菜や松茸にニューヨークのソフト・シェル・クラブというように、場所も食材も多種多様。そんな奥深く滑稽で最高の体験が「品があってとり澄ましたところなく」、下ネタを挟んでも「下卑た趣が微塵もない」語り口で語られるので、作者の美食(と奇食)の記憶とともに、滋味深く軽妙・精緻な文章も味わえる、至福の一冊でした。2020/01/08
としちゃん
10
開高健先生の食エッセイは、やっぱり面白い!広い知識と深い洞察力に想像力、文章力、ユーモアとスケベさ。全部がいい感じに混ざり合って、読む者の心をわしづかみです。今回も、ネズミから飲茶、シューマイにアイスクリーム…どれもどれも美味しそうです。ご本人のおいしいものが大好きという気持ちが全編に溢れています。すごい‼️2016/02/12
ぬ
4
【図】ベトナム戦争のさなかのジャングルでのネズミスープ、モスクワの初雪の降る中で食べるアイスクリーム、アマゾンで釣ったピラーニャの薄造り…美食家として知られる開高健の旅と食の記録。 最初のハツカネズミのスープには、ハツカネズミは夜ごと天井裏や台所をチョロチョロとうろついて伝染病を媒介する害獣というイメージしかなかったので「ゲゲッ!?」としたけれども、まぁ寒雀を揚げて食べるのと同じ感覚なんだろうなと思った。2011/04/21
subuta
2
外国語を話す時の仮名文がいかにもカタコトという趣で、特別な場所で特別なものを食べている感じを出していた。2019/11/02
どら猫さとっち
2
かねてから、敬愛している開高健の食についてのエッセイ。彼は食についてたくさんのエッセイを発表しているが、どれも食べてみたくなるものばかりである。美味から妖味まで、たくさんの味を味わい尽くした彼は、うらやましい存在である。好奇心いっぱいの彼の幅広い行動範囲も知識も、僕には似ているようで、かなわない。2015/09/27