内容説明
長い歴史をもち、江戸の風流を極めて随一といわれながら戦争で店を閉じていた料理屋・八百善に嫁いだ深川木場育ちの汀子。戦後、店の再興にともない江戸生粋の味を蘇らせたいと必死の努力が始まる。開店にこぎつけて二年、相次ぐ困難に奮い立つ日々を描く前篇。
著者等紹介
宮尾登美子[ミヤオトミコ]
1926年、高知市に生まれる。高知高坂高等女学校を卒業。45年、結婚とともに満州にわたり、46年引揚げる。62年「連」で婦人公論女流新人賞、73年、九年の歳月を費した『櫂』で太宰治賞を受賞。以後、77年『寒椿』で女流文学賞、78年『一絃の琴』で第八十回直木賞、83年『序の舞』で吉川英治文学賞、89年『松風の家』で文芸春秋読者賞を受賞。同じく89年には紫綬褒章を受章する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
14
江戸通にとって「八百善」は伝説の高級料理店。小説の内容はともかく、この「八百善」が御一新、関東大震災、太平洋戦争を生き抜いて戦後も店を構えていたという事実に驚き。酔客の茶漬けに1両2分というエピソードも有名だが、店の広告が得意で料理本『江戸流行 料理本』の刊行でも有名。お客への手土産の「起こし絵」、それと一種の高額商品券である料理切手の発行、などでも有名である。こんな伝統ある「八百善」も、関東大震災で焼失、築地に移転して繁盛するも戦争末期に閉店を与儀なくされる。戦後、満を期して永田町で再開するのだが・・・2014/10/19
ふみえ
5
戦後、八百善一家に嫁いだ汀子さんの視点で物語は進みます。時代小説には必ず登場する凄い家の嫁なんて、恐ろしくて私はごめんだ。上巻は八百善再開となりますが、前途多難はありあり。ちょっと長いけれど、どんな商売も暖簾を守り続けるのは並大抵でないです。2014/08/22
流
1
無理やわーあかんわー…なんか色々ひっくり返してやりたくなる衝動に駆られる、辛抱足らん私。2017/01/17
Rika
0
「予約の電話を受けたのは誰だったの?今日は正木様の部長就任のお祝いで、それをお四人が計画なすったものなんでしょ。だったらお床の前は部長様お一人、あとの方は対面がお二人、両脇にお一人ずつとか、最初からそういう風にお席を作っておかなくちゃならないじゃないの。それを今日はお仲間同士だと思って床前三人、対面二人ご用意して、私は正木様に申し訳ないことになりました。」細かな指摘はずっと続き、そのあとようやく「襖の外のお取次は姿の全く見えないのがいいと思いますよ。若奥さん膝が見えていましたよ」と注意された。付箋82枚。2014/04/15
花椿
0
★★2013/12/30