内容説明
東方の眠れる巨人・ロシアを根底から揺り起こし、西方の近代国家へと変貌させた大いなる男、大帝ピョートルの豪壮苛烈な死闘と放埓な恋の遍歴を、雄大なロシアの自然風土を背景に描く歴史巨篇。
著者等紹介
トロワイヤ,アンリ[トロワイヤ,アンリ][Troyat,Henri]
1911―。フランスの作家。モスクワ生まれのロシア人で、幼時、革命を避けてパリに移住。処女作「ほの明り」でポピュリスト賞、1938年にはサルトルの「嘔吐」と争い、「蜘蛛」でゴンクール賞を獲得
工藤庸子[クドウヨウコ]
1944(昭和19)年浦和市生まれ。1969(昭和44)年東京大学文学部卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(地域文化研究専攻)
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感想・レビュー
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ケイ
103
ルイ14世の頃のツァーリ。真にツァーリとなるまでに、継承争いのための度重なる反乱、処刑があった。彼自身は幼い頃から母と一緒に都市から追われていたが、ワイルドな育ち方をした。彼に限らず、一族の多くが品行方正な夫婦生活が送れなかったのは、結婚相手を若いうちに親が決めてしまったからではないだろうか。身近なところ~誰かの妻や愛人、街の女等を愛人とするのは、そちらが自然な出会いだったのかもしれない。健康な跡継ぎが出来ないのも、こっそり毒を盛られたり殺されたりしていたのではないか。教育や世襲についての決まり、2021/03/04
em
17
「気候が厳しく広大な国を支配する君主は、彼自身、激しく桁はずれなのである」。この一文が全てを言い表している(現在の”君主”も頭をよぎる)。好奇心旺盛で手仕事を好み、迷信を笑い、神を信じ、ルター派やルーテル派と交わりながらも瀆神的おふざけに興じる「大帝」。近代ヨーロッパを見据えた君主の顔と、激情と混沌を抱えるロシア・スラヴの魂をもった一人の人間の顔。ドストエフスキーやプーシキンが描いた悪霊の気配漂うペテルブルグは「建設者ピョートルの内なるカオスを、都市のスケールで体現したもの」というあとがきも印象的。2018/12/29
Saiid al-Halawi
7
「物心ついてから、彼がつねに魅力を感じつづけてきたものが三つある。戦争と海と外国だ」p.61 「彼ほどに、他人の立場に立ってものを考えることの少なかった人間はない。途方もない気紛れでさえ、彼自身の思いつきだという理由ひとつで、正当なものに思われるのだった」p.3772012/10/30
tekesuta
2
ツァーリの描写読んでたらおなかいっぱい。文豪トルストイのご先祖さまが狡猾過ぎる。 2013/12/26
Arte
1
クレムリンの武器庫で見た2人用玉座は、子供の時のピョートル大帝とその兄のためのものだったのね。ロシア西洋化近代化の基礎を作り、ペテルブルグを作った人だという話は聞いていたが、こんな無茶苦茶やり放題の人だったとは知らなかった。ロシア版織田信長みたいな奴だ。どれほど国民を大量に殺そうとも、近代化を図ったという点では偉い人なのであろうが、凄まじすぎてなんともはや。 2004/02/21
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