出版社内容情報
漫画界の鬼才、水木しげるが戦時中ラバウルで出会った現地人トペトロ。彼は「鬼太郎」だった……。死が分かつまでの50年の交流をカラー画で綴る。
内容説明
戦争中、私はラバウルでトペトロと出会い、五十年後死別した―トライ族の生活は、人間本来の姿に近いのではないかと思う。あまり金儲けに参加したがらないが、愛嬌があって、どこか豊かである。鬼太郎の世界は彼らに似ているのだ…。デビュー以前の貴重なスケッチ、イラスト、写真を七十六点掲載。
目次
トペトロとの出会い(初期スケッチ集)
トペトロとの再会
トペトロとの別れ
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル]
本名武良茂。大正11年、鳥取県境港市生まれ。武蔵野美術大学中退。太平洋戦争中、ラバウル戦線で左腕を失う。復員後、漫画家を志し、昭和40年『テレビくん』で講談社漫画賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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みーなんきー
35
いや〜実に面白かった。水木さんとは面識がないが、何故か親しい人のような感覚に襲われる、誰もを魅了する人柄を持たれている。現に戦争中南方ラバウルでトペトロ一家と親しくなり、50年近くも家族のごとく受け入れられた。平和な時代も、個人的に何度も現地を訪れ、もてなされ、自身も南方の生活に憧れ、後々は移住すら考えていた。感覚的に感じる世界は霊の世界とも繋がっており、動物的感覚を失わない生活の方が人間を幸せにする、と説く。私自身も感覚的にそれが真実だと感じるのである。2017/09/05
馨
26
水木先生が戦場で現地の人に気に入られて仲良くなった話は他の書物でも紹介されていますがその仲良くなった現地人のトペトロとの出会い、五十年後の死別までのエピソードとスケッチやイラストが満載の貴重な1冊です。この人たちとのふれあいがあったから鬼太郎が生まれたと言っても過言ではありません。2016/01/10
十川×三(とがわばつぞう)
16
面白い。戦時中からの友情。原始的な生活こそ豊か,と憧れ戦後何度も訪れたラバウル記。▼トペトロ達との交流から鬼太郎は生まれた。▼トペトロ妹は呪殺され,トペトロ長男は車で人を轢いて死なしてしまい,遺族から殺されてしまう。後年,トライ族の部落は火山噴火で壊滅。壮絶。▼ネット動画で水木先生とトペトロ,トライ族の祭りを観れて◎。2022/10/31
mahiro
13
「トぺトロとの50年」で検索したら「該当する本はありません」と出て、なにか妖怪に化かされてる気がしました(^_^;)水木さんの生い立ちから戦争中世話になったラバウルの人々と再会して交流すること等を書いたエッセイ。沢山のスケッチやイラストがいい。境港や水木さんの生家跡は訪れた事があるので自宅近くの海岸や街並みの絵にはちょっと感動しました。本当に物凄い経験をして誰にも真似出来ない世界を描きラバウルを第2の故郷とした水木さんを偲ぶのにはいい本です。2016/01/24
yamatoshiuruhashi
9
水木しげる氏がラバウルの原住民と交流があったことは有名な話で、これまで氏の作品、文章で度々語られている。が、本書はその頃に描かれた絵を初め他の作品とは詳細の重複少なく、隙間を埋めていく感覚で読むことができる。如何に氏にとって南方が重要であったかと言えば、本書でマンガが売れたことを「南方に復帰する軍資金を得た」と記されていることからもよく解る。面白く簡単に読めるが、「人生は死の上に立っている。人はそれを忘れようとしているが、死ほど厳然たる事実はない」など哲学書好きの氏らしい表現もあり深い。2016/01/20