内容説明
教会の掟に叛き、八人の妻を娶り放蕩に耽る一方、前代未聞のスケールで人民を虐殺した、好色で残忍な怪物・イヴァン雷帝―ロシアの闇を切り裂き破天荒な行為によって神たらんとした稀代の英雄の生涯を圧倒的迫力で描く長篇歴史ロマン。
目次
両親
少年時代
ツァーリ・イヴァン四世
改革
カザン
病い、その後
リヴォニア戦争
悲嘆、その吐け口
クルプスキー事件
オプリーチニク
府主教フィリープ
ノヴゴロドの懲罰
タタールのモスクワ焼討ち
ツァリーツァの座とポーランド国王の座
ステファン・バトーリ
シベリアの誕生
最期
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
5
ロシア帝国リューリク朝の皇帝、イヴァン4世の生涯を描いた小説なのであるが、幼児期に両親を失ったイヴァン4世は常に陰謀と謀殺、テロルの目撃者と実行者として一生を送る。作者はフランスに亡命した白系ロシア人であり、その後のロシアに度々現れる偉大な虐殺者の原型として描いている。敬虔にして残虐、レーニンやスターリンの祖先としか言いようがない存在である。随分とイヴァン雷帝より行儀は良くなったにしろ現在のプーチン大統領に至るまで、このような人間でないとロシアを掌握できないのではないかと暗澹たる気持ちになってしまった。2018/05/13
たかぴ
2
あまりに苛烈な人。その被害はミュトス的な雷にあってしまったと考えてたのかもな。2022/03/16
富士さん
2
おもしろい伝記でしたが、視点が終始個人的で、判断が絶対的なのは当時の時代を知る上ではマイナスだと思います。雷帝の傍若無人な振る舞いと、偽善的な自己弁護ばかりが強調されていますが、それがほかの国の王侯たちと比べて、ロシアの大貴族たちと比べて、果たして特出すべきものだったのかについてはあまり多く語られません。また、雷帝の約束と比べて原資料の著者たちが誠実であったかどうかの評価も触れられません。そう語られた、という意味では価値があるかもしれませんが、これがそうであると考えるのは違うと思います。2012/12/26
fuchsia
2
西ヨーロッパ人の感覚からすると、「トルコよりは同胞」レベルな扱いを今でも受けてるような気もいたします。
hrn
2
9人もの奥さんと結婚・離婚を繰り返し、果てには息子の皇太子をぶん殴って殺してしまった癇癪もち。よく臣下に反逆を起こされて殺されなかったな…という暴君ぶりです。でも思うのです。一人目の奥さんが死ななければ彼女がイヴァンの心のバランスをうまく取って、そこまで暴走しなかったのでは、と。2010/01/04
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- 栄西の道 - 千光燦々