内容説明
冬山の遭難で両足指を失った著者は上高地にこもって錬成し、穂高岳、剣岳などに多くの初登攀を記録、さらにアルプス岩壁への先鞭をつけ、ついに日本人初のマッターホルン北壁登攀の快挙を果した。長く読み継がれる山の青春譜。
目次
青春の日の記録(八ヶ岳遭難;風雪の富士山頂 ほか)
徳沢の生活(雪山をみつめて;ちぎれ雲 ほか)
詩と散文詩(出発点;青い空 ほか)
ヨーロッパ・アルプスへ(脱出・アイガー北壁;マッターホルン北壁 ほか)
著者等紹介
芳野満彦[ヨシノミツヒコ]
現姓服部。昭和6(1931)年東京に生まれる。23年冬の八ヶ岳で遭難し両足指を失うが、回復と共に山に戻り、積雪期前穂高四峰正面壁、同剣岳チンネ正面壁、滝谷グレポンなど多くの初登攀を記録する。さらに38年、アイガー北壁行によってアルプスの岩壁への先鞭をつけ、40年には日本人初のマッターホルン北壁の登攀を成した
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感想・レビュー
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SJW
140
山の日なので、登山家 芳野満彦さんの八ヶ岳、富士山、前穂高岳、北岳、剣岳、蔵王、アイガー、マッターホルン、エギーユ・デュ・ミディ(モンブラン)などの有名な山での冬山登山や遭難を読了。マッターホルン以外は登ったり見たりしたので土地勘はあり臨場感を楽しめたが、ザイルやハーケンを使うようなロッククライミングの経験はないので、詳細な理解は難しかった。冬山やロッククライミングには憧れていたが、家族や仕事の事を考えるとどうしても始められなかった。自分には夏山を適度に楽しむのが性に合っていると今更ながら納得している。2019/08/11
ろこぽん
5
新田次郎さんの「栄光の岩壁」を読む前に、モデルとなった方の本を読んでみました。 超人でした。超人すぎて真似しようなんてみじんも思わないけど。。。今、素晴らしい山道具や山装備があるのは、彼のような登山家さんが大変な思いをしたからこそなんだろうな。 山装備だけは惜しみなくお金をかけて、少しでも快適を。と思ってる私には、乏しい装備で未踏の雪山に挑む昔の登山家さんの情熱が、すごいを通り越して怖いです。とにかくただただ脱帽です。2020/06/22
頭痛い子
5
誤字が酷かったため感想再投稿。すごく良かった。徳澤園で冬番人してたというとこに興味を持ち購入。著者は八ヶ岳遭難時に凍傷になり足先切断、かかとからつま先まで12cmになった。普通の人なら歩くことさえ不可能と言われるなかピッケルを振るい、世界三大北壁をクライミングしていく姿は圧巻。山に挑戦し続けたけど死なずに80歳まで生き抜いたのは、山をやる人なら凄さが分かるはず。生死のギリギリまで行き、死の淵覗いては現実世界に戻ってくるそのタフさは、著者の人間性の余白になっている気がした。2020/03/19
gtn
4
新田次郎「栄光の岩壁」のモデル、芳野満彦氏による登攀記。氏は八ヶ岳で遭難し、相棒を亡くすとともに、自身も凍傷で両足平の大半を切り落とした。氏は、後世への戒めの意味を込め、その遭難シーンを淡々と描く。2018/02/19
さえ
4
高校生の時に遭難で友達を亡くし、自分自身も凍傷で足の一部を切断したという作者。その遭難の様子やその後の山行を記した本。高校生の時にそんな辛い目にあえば、私だったらへこたれそうだが、作者が怪我を乗り越え、次々と山へ向かっていっているのには驚いた。「ゴンベーと雪崩」が面白かった。犬は強し。2010/10/02