内容説明
地理調査のためゴビ砂漠を越え西へと向かったヘディン一行は、新疆で馬仲英率いる東干軍による反乱に巻き込まれる。戦乱の西域を舞台に繰り広げられる生死を賭けた冒険の記録。『さまよえる湖』へと続く、西域自動車遠征隊三部作の第一部。
目次
新疆の戦争
われらルビコンを渡りぬ!
廃墟の村々を過ぎてトルファンへ
大馬の参謀長と虎王に会う
匪賊の国の峡谷と火焔に包まれた村々を過る
わが憂愁の町、コルラへ
危機迫る
イエオリを探して
わが自動車隊襲撃される
馬仲英わがトラックを奪う。コルラ空襲さる
不安の一夜
大馬の兵、コルラを略奪
勝軍のコルラ入場
ベクティエフ将軍
二度目の監禁
運転手帰る
イエオリとエッフェは大馬のもとをいかに逃れたか
大馬、ロシア・トルキスタンへ逃がる
著者等紹介
ヘディン,スヴェン[ヘディン,スヴェン][Hedin,Sven]
1865‐1952。ストックホルムに生まれる。ベルリン大学で地理・地質学を学ぶ。1893年から1908年にかけて3度の中央アジア探検をおこない、古都楼蘭、ロプ・ノール、トランス・ヒマラヤ山脈等を発見する。さらに1927年から35年にかけて再び西域で大規模な調査をおこない、その時の体験を『馬仲英の逃亡』『シルクロード』『さまよえる湖』の3部作に著す。学問的業績の大きさと不屈の探検精神から、20世紀最大の中央アジア探検家といわれる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
53
中央アジア探検記。舞台となる1934年の新疆は、当地の覇権を巡る争いが「決定的瞬間」を迎えようとしていた時期。飛び交う憶測や時々刻々と変化する戦況に翻弄され、ヘディン一行も危難の連続。銃撃、監禁と息つく暇もありません。敗軍の将の逃亡に巻き込まれ進退窮まったと思われた所で悲願のロプ湖への道が開けて本書は終了。この成果は『さまよえる湖』に預けられるわけですが、人の世の儚さを痛感させる戦争を目の当たりにした後に遥かに臨む楼蘭とロプ湖の姿は、時の「刻み」に耐え得た揺るぎないものを見るようで、強い印象を残しました。2019/07/10
みねたか@
30
スウェーデンの地理学者ヘディン。古代都市楼蘭の発見で世界的名声を得た彼が齢70を前に挑んだ探検。1934年そこは中央アジアの戦場。彼自身が乱暴な大賭博と認める旅。囚われ生命の危機を迎え仲間を失う寸前となる2か月。痛快な冒険譚とは程遠い囚われの中での緊張の連続と不安。なぜかからりとした明るさに満ちているのは、まさにシルクロードに取りつかれた男ならばこそ。終章で改めて語られる草原と荒野を疾駆する馬仲英の姿、そしてヘディンのロブノール「彷徨える湖」へとはやる思いに誘われ私の心も続編に飛ぶ。2021/01/19
Като́н
0
『シルクロード』や『さまよえる湖』と同じ旅を描く三部作の一だが、時系列がごちゃごちゃになる。2025/05/24