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中公文庫
完訳マルコムX自伝 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 421p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122039971
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C1123

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chanvesa

31
マルコムXがすごいのは、その真っ直ぐな人間性だと思う。刑務所に入り、兄弟の影響でイスラム教の信仰を得るも、それは雷に撃たれたような経験であることが伝わる。宗教のみならず、必死に学問に取り組むことになる。「『出身校はどちらですか?』『本です』(329頁)」という言葉は重みがある。そして学問や知識が彼の思想に結びついていたことは、その思想が過激であっても、また後年転回し融和的になっても説得力をもたらす。刑務所の中での討論会がどんな議題であっても、白人悪魔説にもちこめることが、学問や知識が有機的である証なのだ。2021/11/27

マッピー

15
マルコムXの「X」とは、永久にわからない自分のアフリカの家族の姓の象徴で、教団員がみんな用いていたものだった。失われた、いや、白人に奪われた故郷アフリカ、黒人としての尊厳。その無念はわかる。けれど、黒人至上主義は、白人至上主義と同じくらい違うと思うのだが。上巻は公民権運動より前の1950年代最初のころまでが書かれている。想像以上に黒人たちは虐げられていて、だからこそ白人を見返したい気持ちは澱のようにたまっていて、怨嗟の声が噴き出すのは時間の問題。マルコムXの結婚でこの巻は終わるが、不穏な気配濃厚。2023/08/03

ココマ

6
マルコムの父は罪なく白人から殺された。それで「彼は頑張って勉強して偉い人になりました」という教科書のような話の本ではない。終盤まで頁をめくってもめくっても物騒な話が続く。過剰な薬物摂取と銃、女からむしり取る金。しかし彼には不思議な予知能力もあった。伝記映画を思い出すと、彼は自分が殺される事を知っていたのだと思うと泣けそうになる。宗教の裏まで隠さず語るマルコムは、遠いアジア人の事まで思いやれる優しさがある。B.ホリデイが登場するのも興味深い。日本にはないブラザーという意識が生まれていく過程が伝わってくる。2015/04/06

Saint Gabriel

4
感想は下巻読了後。2017/02/11

Jack Amano

3
マルコムXの若かりし頃のやんちゃな生活、その後、読書に没頭し、様々なことを学び、米国の黒人差別に怒り、イスラム教徒になって、人々にイスラム教の教えを普及させていく過程が上巻では描かれています。マルコムXだからということでなくても、物語としてもとても面白い。そして、黒人社会が、白人の差別を受けていながらそれを当然のこととして受け入れてしまっていた現状を変えなければ、という思いがキング牧師との行動の差になって表れてくるということも理解できます。2021/11/05

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