内容説明
まもなく国家殱滅型の最終戦争が起こり、その後に絶対平和が到来する。太平洋戦争前夜、戦史研究と日蓮信仰から生まれたこの特異な予見は、満州事変を主導し日本の運命を変えた。陸軍の異端児は何を語ろうとしたのか。
目次
第1部 最終戦争論(戦争史の大観;最終戦争;世界の統一;昭和維新 ほか)
第2部 「最終戦争論」に関する質疑回答
著者等紹介
石原莞爾[イシハラカンジ]
1889‐1949。山形県生まれ。陸軍大学卒業。陸大教官などを経て関東軍参謀。欧州戦史研究と日蓮信仰から、日本を世界の盟主にとの使命感を得、世界最終戦争論を樹立。その第一段階として、満州事変を主導した。参謀本部作戦課長時代、満州国と一体となった総力戦体制ができていないと日中戦争不拡大を主張。東条英機と衝突し、第16師団長を罷免され予備役となる。その後東亜連盟を指導。敗戦後は全面的武力放棄を唱え、故郷で開拓生活を送った
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感想・レビュー
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とくけんちょ
50
あえて言う。これは新興宗教の類か。今後は決戦戦争の後に、アメリカか天皇が世界を統治し、戦争が無くなり、平和な世界となる。未来を予言していると思わされる部分は多くある。核兵器、その戦争抑止力まで予言しているよう。ただテロまでは読み切れなかったみたい。核兵器も含めたエネルギーの完全自給こそが日本の夢。2022/08/11
姉勤
34
日米開戦前の昭和17年。核兵器や長距離ミサイル、他方の国土を焼き尽くす兵器の出現と経験(世界最終戦争)のあと、核兵器によって大国同士の戦争は回避され、表面上の平和は維持されていることは予言として当たっている。現実を透徹した軍人以上の目を感じる。しかし、日蓮宗に基づいた、彼の言う戦後に文明の進化により浄土が地上に顕われ、人類が菩薩に成る様な、想像と妄想のインフレーションにはついていけず。ここで挙げられる東亜連邦の理想は、日本も含め我欲の畜生道を進んでいる今、新たに綴られる歴史に学び尽くしてもなお、無理難題。2014/08/07
100
30
戦史、科学、宗教などから今後の戦争を予言しているけど、戦争家の言葉なので、戦争ありきの意見になっているし、作者自身が言っている通り、戦史以外の面での考察は説得力が不十分なところも感じられる。その後の戦争は思想対システムの戦いだったのかという考えに至った。2020/03/10
すしな
30
073-19.大正がおわったら軍国主義まっしぐらだと思っていたのですが、大蔵省も軍事予算を出すのを渋っていたみたいだし、当時の文化人も軍事には疎かったというか、軍事の研究をするのは卑しいといった風潮があったということで意外でした。今現在も大学の先生とかは軍事の研究をしないというのを良しとしていますが、本当にシビリアンコントロールをしたいのなら、文民がきちんと研究しないと有事には統制が効かないんじゃないのかなぁと思いました。2019/06/08
双海(ふたみ)
30
非常に面白い。解説で橋川文三の論文「昭和超国家主義の諸相」が引用されている。この論文は以前読んで読書ノートにも感想を記してあるからよく覚えいる。にんまり。2014/05/29
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- こどもオレンジページNo.3