内容説明
あの「戦争」とは一体なんだったのか―。昭和19年冬、零下5度の中国から、赤道直下のハルマヘラ島へ転戦、そして敗戦を迎えるまで―一見習士官・池部良が体験した軍隊生活へのとまどい、極限下の戦場の惨憺たる光景、そして戦争の空しさを、軽妙かつ臨場感あふれる文章で描く。
著者等紹介
池部良[イケベリョウ]
1918年(大正7)、東京・大森に生まれる。41年、立教大学英文学科卒業後、東宝文芸部に入社。その後、俳優に転向し、同年7月「闘魚」で映画デビュー。戦前戦後を通じてスターとして活躍し、代表作に「青い山脈」「暁の脱走」「雪国」「早春」「乾いた花」等がある。文章にも定評があり、新聞、雑誌にエッセイ、コラムを書き続けている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
34
軽妙な文体ゆえ読みやすい。タイトルにハルマヘラがついているが、どちらかと言えば中国戦線と輸送船の場面が多い。筆者は第32師団の衛生隊の輜重兵将校(陸軍中尉)として軍務に励むが、幹候の経歴ゆえ、頭の硬い職業軍人たちとベテランである部下との間で板挟みとなっていた苦労している。しかし悲惨な感じはしなかった。乗っていた輸送船が轟沈する場面も淡々としている。2022/11/27
wei xian tiang
1
義祖母の兄について、ハルマヘラで戦死したということしか聞いていない。どんな戦場だったのか、少しでもよすがになればと思い読む。戦時ゆえ量産された、大卒・幹部候補生出身の即成少尉という立場での、陸士卒の将校や叩き上げの下士官との確執を描いた部分が多くを占め、過剰な諧謔味を帯びることもある。自ら後記しているが、本書は事実に忠実な戦記ではなく、自分の戦争体験を題材にしつつ創作を加えた、一つの読み物だととらえるべきであろう。2018/03/05
天婦羅★三杯酢
0
塩瀬のまんじゅうを御下賜いただくというのは始めて知った。 人間がやる事だから、階級や所属や作戦要項や内務規定が 人を殴ったり殴り返したりするわけではないけど。 兵も下士官も人間で、そうそう「上官殿」の命令にすべて従うわけではない ということで。 幹部候補生=カンコウ 歩・騎・砲・工・輜2011/03/20