出版社内容情報
表題作ほか「女殺油地獄」「鑓の権三重帷子」「曾根崎心中」を収載。最高の戯曲作家近松が書きあげた悲恋四篇を長篇ロマンの名手が情念豊かに描く。
内容説明
『出世景清』で浄瑠璃に新風を吹き込み『曾根崎心中』で世話物のジャンルを創始した近松門左衛門。歌舞伎狂言も手がけた、この日本最大の戯曲作家が書いた円熟期の世話浄瑠璃四篇『曾根崎心中』『鑓の権三重帷子』『心中天網島』『女殺油地獄』を、長篇ロマンの名手里中満智子が情念豊かに描く。平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
著者等紹介
里中満智子[サトナカマチコ]
1948年、大阪市に生まれる。1964年『ピアの肖像』により第一回講談社新人まんが賞を受賞し、十六歳でデビュー。翌年単身上京、漫画家生活に専念する。74年『あした輝く』『姫がいく!』により第五回講談社出版文化賞児童まんが部門賞、82年『狩人の星座』により第六回講談社漫画賞を受賞。独白、ナレーションを多用した心理描写によって女性像を浮かび上がらせる作風で、テレビ番組、シンポジウムにパネリストとして参加することも多い
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
32
娼婦と身分ある男性の恋。世界中で色々な歌劇の題材になっているテーマです。一心不乱な恋はドラマチックで、同時に大いなる迷惑。そんな冷静な周囲もきちんと描いている里中さんのマンガが面白くて…。この部分、人形浄瑠璃でも描かれているのかしら?2023/01/06
かふ
20
『心中天網島』は太宰の『おさん』の原作だから読んでみた。実際に起きた心中事件を元にして近松が浄瑠璃にしたのだがストーリー展開が見事。小春という芸者に上せてしまう治兵衛がどうしようもない駄目男で太宰のよう。小春と心中しようとして、その間際になって小春が生きていたいと言い出す。実は治兵衛の女房のおさんが手紙を出して、二人で死ぬことよりも生きることにして下さいと手紙を出したのだ。その後裏切られたと治兵衛は小春と別れるが小春は嫌な男の元へ身請けしてしまう。おさんの手紙を思ってのことだった。2020/01/14
bluemint
12
今より世間が狭く、名誉や世間体を重んじる時代だったのだろう。 罠に落ちたり、不倫の関係になったりで身動きできなくなり破滅の道を突き進んでしまう。 一緒に死んでくれる人がいるだけ、ただの自殺より救いがあるのか?相手を引きずり込んでしまう悪人なのか? だいぶ前、曽根崎心中は梶芽衣子と宇崎竜堂の映画で観たが、お初が縁の下に隠れている徳兵衛を足で感じながら、相手に啖呵を切る場面がすばらしく, ここは原作を超えていると思った。2016/10/10
aisu
10
一つ前の「葉隠」に比べたら、元々ストーリーのあるやつだし、里中満智子曰く、共感しやすいように心情を推測して挿入したり、説明をいれてくれたりしていて、読みやすかった。主人公達に共感は出来ないけど…周りの人の助言の方がよっぽどマトモだし、残された子供が可哀想…。心中天網島(てんのあみじま)、女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)、槍の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)、曽根崎心中、の4話。2023/12/22
非日常口
7
曾根先心中を音読したので、他の作品の筋と背景をみたく読んでみた。心中ブームが起きるのは平和になった時代だからのように感じる。2013/12/11
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