内容説明
歌人・穂積忠を義父に、折口信夫(釈迢空)を“精神の父”として、残生をその学問の顕彰にと念じ続ける著者は、折口の女嫌いの定説を殆ど信じていなかったという。常に暗い心の内部をかいま見、特異な人物像を描いていたわれわれは、生萩氏との語らいの中に、人間迢空の限りない優しさと歌人学者の鮮烈な素顔を見出して驚嘆する。
目次
ころし
やまと恋
しをれぐさ
月に愬ふ
恥情
葛の花
里子像
折口争奪
まがつ神
安らかな愛の膝
八百万神
春来る鬼
生きている折口信夫
著者等紹介
穂積生萩[ホズミナマハギ]
1926年秋田県男鹿市生れ。旧姓沢木数枝。歌人。現代歌人協会会員。日本文芸家協会会員。同人誌「火の群れ」編集発行人。三歳より東京世田谷区玉川田園調布にて育つ。十三歳より喜多流後藤得三へ入門・十七歳で鈴木亨氏に入門し、折口学、古事記及び近代文学史を対面で学ぶ。1944年、秋田に帰り、折口信夫に会う。折口信夫の媒酌により、歌人穂積忠の長男忠彦と結婚。53年折口没後「折口信夫博士に替って」土岐善麿の序文にて処女歌集『貧しい町』(白玉書房)を出版、ほかに歌集六冊
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感想・レビュー
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ぺけぽん
10
折口さんについての本は初めてですが、なんか想像していた折口像がゆっくり壊れていきそうで・・・・・・面白いです!(笑)2012/09/25
うえ
8
表題の由来が、あとがきと、文庫版あとがきで食い違っており中々面倒くさい人。素朴な思いから、どうすれば他の人に気にいられるんだろう?というところから、うまく人間関係を操り自らに破滅させられた人をみて、どうしてこの人破滅してしまったんだろう?不思議…と素直に考えてしまうタイプ。自らを折口に近づけるため弟子に結婚をちらつかせながら更に他の人を狙う。読んでる方としては面白いが近くにいたら真っ先に殲滅対象になるか。まさに表層意識は善意の塊、内層意識は悪意の塊⚪折口「あんた、こんなうた作って家庭争議おきやしまへんか」2017/12/25
euthanasia
2
「折口さんの古事記の講義ね、教壇に上がっていきなり''女陰(ほと)''って言ってね、黒板に''火処(ほと)''って書く。それから''人間の体の中で一ばぁん、あったかいところですう''と言って、それっきり」2012/10/23