内容説明
唐末五代の混乱は宋によって統一され、社会の再編成が行なわれる。宋代はまた庶民が中世貴族から解放される時代で、彼らは政治・経済・社会等あらゆる分野に、自由に活躍する舞台を与えられる。このような若々しい近世社会を基盤に、さらに無数の庶民の力を結集して、宋の新文化は築きあげられる。
目次
民族の若返り
統一の曙光
社会の再編成
征服王朝の出現
ナショナリズムと西夏の興起
近世新文化の形成
新体制のビジョン
派閥抗争
素朴民族金国の侵入
戦争か平和か〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみかみ
2
評価:★★★★☆ 宋代の概説書として、かなり優れた著作だと思った。唐末五代の戦乱で崩壊した秩序を再編して成立した宋王朝。その政治、経済、文化の担い手である士大夫が、当初は進取の気象を持っていたにもかかわらず、次第に特権商人と結びつき、地位の維持に汲々として国家の衰退を招いたという大まかな流れを、簡潔で要領を得た筆致で見事に素描している。内藤湖南の唱えた「唐宋変革論」の一端をようやく掴めた気がする。2014/01/15
pepe
0
北宋の発展から金の侵略による南宋への没落までの歩みがわかる。単に女真族という金の台頭のみではなく、北宋の皇帝の血縁や旧臣派や新派などの宦官政治や科挙制度による中央集権の弊害というのがわかる。高宋の跡継ぎ選びで、二人の候補者のうち片方が通りがかった猫を足でけったために失格となったというエピソードはおかしい。2017/04/08
でこれ
0
宋があった時代は、それまでとはどう違うのか、その影響はどうであるか、について入念に解説されててわかりやすかった。2014/02/22