内容説明
南宋を滅ぼし、高麗・安南・ビルマ・ジャワを降し、1274年(文永11)の文永の役、1281年(弘安4)の弘安の役と、二度にわたり「蒙古襲来」を企てたフビライ汗。大元帝国皇帝として「能く夏(中国的なもの)をもって夷(モンゴル的なもの)を変えた」男の覇業を祖父チンギス汗から説きおこして描く。
目次
1 大モンゴル帝国の出現
2 チンギス汗の後継者たち
3 皇弟フビライの中国支配
4 モンゴルのフビライと南宋の賈似道
5 遊牧地帯か農耕地帯か
6 大元帝国の確立
7 日本遠征とその失敗
8 カイドの乱
9 能く夏を以て夷を変えたり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
21
○元寇のイメージが強いですがそれ以外の部分がしっかり書かれています。汗の継承やチンギス汗の継承者、カイドの乱の話が面白かったです。2023/11/12
ソルト佐藤
4
本版が50年以上前の本だが、意外にペルシャ方面からの記載からもってきている部分もあり、ちょっと驚き。でもやっぱり中心は漢籍側。筆者もいっているとおり、フビライは波乱万丈の人生ではなく守成の人。本人の評伝ながら影が薄く。前史のチンギスや、遠征時の部下たちのほうの戦いが詳細。しかし、その戦いの描写がとてもいきいき。とても良い。昔の学者、小説家以上に魅せることのできる文章家が多いのだなと思ってしまう。下手な小説よりずっと、興味深く読める。2017/08/04
dexter4620
1
歴史上最大の帝国を築いた中興の祖、フビライ汗。柔軟に異文化や人々を取り入れた事が本書から理解できる。これほどまでに中国に親しんだ人だったととは知らなかったので、モンゴル帝国への理解がより深まった。巻末のマルコポーロ見聞録による視点も面白い。2022/01/21
totapoo
0
チンギス汗に隠れてあまり知られていないが、元寇で日本に攻め込んだのも、マルコポーロが会っていた人もフビライ汗。元側から見た元寇の経緯が分かった。しかし、人の名前や、地名がやたら多く、もう少し地図や系図を載せてくれるとわかりやすかった。完顔阿骨打、耶律阿保機など遠い昔世界史で勉強した人名が出てくるのも面白い。南宋を攻めるついでに日本も攻めたようで、こりゃ負けるわという適当な遠征が元寇だったとわかった。元寇や神風などに興味のある方は読むとよいでしょう。今はもう少しよい本があるのかもしれませんが。2023/05/30