内容説明
秀吉の弾圧と迫害の嵐のなか、着実にしかも強固に信仰の広がりを見せる、天草や島原等のキリシタンの姿を描く。また日本で最初にイエズス会員に採用された日本人・ロレンソ修道士や有馬の教会での少年使節の祝賀式典を詳細に記す。全12巻を通してのキリシタン年表付。
目次
本年、大村とその他の地で起った幾つかのことについて
天草、志岐のこと、および本渡城の破壊、同所における三百人のキリシタン婦人の英雄的で永久に記憶すべき行為について
上津浦での改宗、および栖本、平戸、ならびに五島での幾つかのことについて
日本で最初にイエズス会員に採用された日本人ロレンソ修道士の死去について
巡察師が都から下の地方へ帰った次第、および平戸で彼の身に生じたこと
教皇聖下が日本の四貴公子を通じて贈り給うた聖木十字架、剣、および帽子を、巡察師が有馬においてドン・プロタジオに手交した式典について
(毛利)壱岐守殿が他の代官とともに、司祭およびキリシタン宗門に対して加えた新たな迫害について
この迫害のため、学院、神学校、修練院が移転した次第、ならびにこの厄介な転居の中で、これらの殿たちが示した愛情について
我らの同僚たちが嘗めた他の労苦、危険、苦痛、ならびに日本の四貴公子がすべてイエズス会に入会することを決心した次第
司祭およびキリシタンたちが長崎で嘗めた労苦および大きい苦痛について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬至楼均
1
弾圧を受けた宗教は奇跡を必要とします。信じるか信じないかは…。2013/12/15
godubdub
0
いよいよ最終巻。秀吉のキリシタン追放令,朝鮮出征下でのキリシタンの生活を描く。フロイス日本史での弾圧は,その後の過酷な弾圧に比べれば,悲壮感が伴うものの秀吉後への期待が持てるものだった。しかし,この後さらに過酷な弾圧が待っていることを考えると,イエズス会の立場に立ったとしても神の意志はどこにあるのかと問い返さずにはいられない。2016/05/19
えんのしん
0
天正17年の本渡城の戦いは激戦を極めた。守るは城主ドン・アンデレも領民達も全員キリシタン、攻めるは加藤清正と小西行長の連合軍。アゴスチイノこと行長はキリシタン同士で戦いたくなかったので極めて及び腰だったが加藤清正は殺る気満々だった。守備側は総力戦となり城主の妻や娘、嫁などの貴婦人達も武装して300人の女性軍を作り奮戦した。イエズスの御名を唱えながら激戦地に特攻し、そして玉砕した。300人の貴婦人軍で生き残ったのは2名だけだったという。本渡とその周辺のキリシタン宗団が壊滅した戦いだった。2025/04/06