内容説明
女衒を生業としていた髯の意休が紅いしごきで縊り殺された。八丁堀では下手人の目星がついたというが…。鬼平こと長谷川平蔵の急死後、二十三歳の妹川数馬、鬼平黄金期の名残りである竿月、その愛人の芸者お小夜など五人のチームが、江戸市井の事件解決に縦横な活躍をする六編の痛快捕物帳。
感想・レビュー
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星落秋風五丈原
19
前の火付盗賊改は事もあろうに長谷川平蔵だったのだ。長谷川平蔵といえば、池波正太郎氏の「鬼平犯科帳」でお馴染みの、あの人物。グルメ、女性にもてる、太刀さばき、心意気。どれを取っても文句なしのいい男。遠く離れた現代においてもこうなのだから、実際の時代における後任の苦労は想像がつく。きっと「前の火付盗賊改は」と、事あるごとに、官民両方から言われていただろう。同じように頑張っても評価されず、越える成果を挙げて初めて認められるのだ。「若いもんにはこの苦労はわからん」と物語の背後で、文句を垂れていたのではなかろうか。2003/05/09