中公文庫
鄭成功―旋風に告げよ〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 431p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122034372
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

父芝竜は形勢の不利を悟り、清朝の招撫を受けて投降するが、鄭成功はなおも“抗清復明”の志を曲げない。東南沿岸部を拠点に、日本や南海諸地域との貿易活動によって得た潤沢な資金を財政基盤として、強力な水軍を統率、長江をさかのぼり南京を攻囲する。幾たびの悲運、敗戦にも屈することなく、のちに台湾からオランダ勢力を駆逐した鄭成功の感動的な生涯を、東アジアの海を舞台に描く歴史長篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

糜竺(びじく)

27
1600年代中頃の中国、台湾が舞台の小説です。明王朝は崩れていき、満州族による清王朝が誕生しようとしている、そんな時代の小説です。国姓爺こと、主人公の鄭成功は「抗清復明」のスローガンのもと、強力な水軍を率いて戦っていきます。清王朝やオランダから台湾を解放するといった生涯が熱く描かれていました。個人的には、主人公は良く言えば、気力が衰えない熱い信念の持ち主、悪く言えば、融通が効かない不器用な頑固者っていう感じがしました。とりあえず、この時代にこんなに熱い人生を送った人がいたんだなあと気付かされる作品でした。2014/02/01

サチオ

10
明の復興を大義にしてきた鄭成功だが、世論は既に明から離れ、己の出自と若さゆえ強権で率いた軍も機能を弱め、結果として清に大敗を喫した。だが、親友の必死な談判が彼の進むべき道を拓いた。明の旗ではなく鄭成功の旗を掲げよ…。つくづく人間の心理や時勢を掴む事の難しさをみた。これからって時に亡くなったのが惜しい人物でした。2017/01/20

まさげ

6
主人公の鄭成功に肩入れするのではなく、客観的に鄭成功の生涯が描かれていた。親友の陳方策との再会した時の会話が印象に残りました。2019/08/12

NyanNyanShinji

2
4月の大阪の文楽で『国性爺合戦』がかかり、近松の書いた和藤内と史実の鄭成功は以下に違うのか?と言うことで吉川弘文館の人物叢書やら小説の高橋和島の『朱帆』『怒帆』と本書を読み進めた。近松の和藤内を始め、日本で書かれた小説の鄭成功像というのも作者の創作のウエイトが大きく、読んでいてあまり乗れなかった。陳舜臣という事で大いに期待をしたのだけど…2021/06/15

熱東風(あちこち)

2
面白かった。/しかし不思議な人物だ。知れば知るほど好きになる歴史上の人物は数多いるが、この鄭成功の場合は逆に、魅力が減少してしまう奇妙な印象を受ける(嫌いではないし、興味深い人物ではあるのだが)。きっとイメージが独り歩きしすぎていたのだろう。何かを成し遂げた、と言えるほどの功績が実はあまりない気がする。確かに、台湾からオランダ人を追い出して鄭一族が根を張る基礎を作ったが、それも数代で滅びた。中国からも台湾からも英雄扱いされているのが、かえってその中途半端さを現している気がする。2017/03/04

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