内容説明
敗色濃厚な太平洋戦争末期、最新の技術を結集し、米軍をも驚愕させるロケット推進式小型高速機が送り出された。散華を前提に設計された人間爆弾・桜花―。開発を命じられた技術者達は、躊躇いながらも非情の兵器を完成させ、敗勢挽回を信じて志願した若者たちは、短い生を輝かせて出撃の時を待った―。特攻の実像を描く歴史ノンフィクション。
目次
第1章 試作番号MXY7
第2章 神雷誕生
第3章 この槍、使い難し
第4章 非理法権天
第5章 沖縄決戦
第6章 死なばや死なん
第7章 本土決戦
第8章 とよはたぐもに いりひさし
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
6
「人間を機械の部品として自死させる特攻兵器は、人力代行を目的とする技術そのものの否定」(6頁)というのは、海軍技術士官の出身である著者ならではの識見と思う。この不条理を「自分が真っ先に死ぬから」との理屈でいともたやすく突破し、「彼らの熱誠を否定するに忍びない」「いずれは我々も後を追う」等々と止めどもなく拡大していくのが何ともやり切れない。とは言え、似たような構図は今の日本にも見られるのではないか。2022/06/02
r
1
エンジニアにとって最終的には人間を必要とする特攻機は歯痒い機械だったというのが戦時下の苦悩を厚くする。2025/03/29