中公文庫<br> ヴァーグナー家の人々―30年代バイロイトとナチズム

  • ポイントキャンペーン

中公文庫
ヴァーグナー家の人々―30年代バイロイトとナチズム

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 246p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122033351
  • NDC分類 762.34
  • Cコード C1122

内容説明

後期ドイツ・ロマン派音楽の巨匠リヒャルト・ヴァーグナーの遺志を継いで、バイロイト音楽祭で壮大な楽音を響かせ続けてきたヴァーグナー家の人々は、ナチズムの圧倒的勝利という時代の流れのなかで離散するが、義娘ヴィニフレッドのみが総統ヒットラーと盟約し、バイロイト劇場はナチスの聖地となる。現代における政治と芸術の相剋を描く、ドイツ音楽の裏面史。

目次

1 バイロイトへの遥かな思い
2 コージマからヴィニフレッドへ
3 王位簒奪者の苦慮
4 大衆政治と芸術
5 夏の臨時首都バイロイト
6 バイロイトの聖地化
7 栄光のバイロイト
8 戦時のバイロイト
9 ヴィーラント時代の開幕
10 華やぐ聴衆の擡頭
11 百年祭を迎えたバイロイト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobi

71
かのルートヴィヒ二世と同じくヒトラーもヴァーグナーの世界に魅せられた一人。専用の劇場があるバイロイトをナチスが聖地化したのは「楽劇とナチスの世界観の一致」というより、むしろ自身の音楽への心酔は勿論「終始、劣等感を背負って…きたヒットラー」の、その地を取り巻く「精神王国」への憧憬に拠ると見える。ナチス党領袖とヴァーグナー家、フルトヴェングラー等との関係を通して、彼らのみならず当時のドイツの熱気、困惑、悲嘆が映像のように繰り広がる。並行してマン、アドルノ等の神話的世界と大衆社会という切り口での論考も興味深い。2015/10/11

またの名

10
純粋に音楽だけを追求せず物語、設定、舞台装置そして何よりそれらすべてを介して表現される理念が重要だと考えたワーグナーの作品は総体として理解されるべきであるように、彼が築いた一族の命運もたんに個的には把握できない。男色狂王ルートヴィヒとの交わりの時からすでに国家体制と別にして語ることが不可能だったワーグナー家は、大衆政治の時代に入ってナチス治世を迎える際にもただの伝統芸能のお家騒動に収まらない国家的動乱の渦中。ナチズムは即BANという非難先行の研究にもどかしく思っていたドイツ思想研究者が筆を取り、描く大河。2017/08/22

蘭奢待

9
ヴァーグナーの音楽ではなくバイロイト音楽祭を巡る政治的な話が中心。ヴァーグナーの殿堂であるバイロイト音楽祭。ヒトラーがヴァーグナーに心酔し、音楽祭の開催期間は実質的に政治の中心がバイロイトに移っていたほど。それに呼応するように当時の女主人ヴィニフレッドが大きく肩入れしそれは戦後までも続いていた。戦後、ヒトラーの影や第三帝国の印象の払拭するために、女主人の子供たちは女主人を引退させイメージの一掃に着手する。ヴァーグナーに心酔するヴァグネリアンの功罪についても言及。大変興味深い。2018/07/17

bittersweet symphony

2
オリジナルは80年発売の中公新書。99年01月に文庫本で発売されたもの。清水多吉(1933-)さんは立正大学名誉教授の政治学者(フランクフルト学派がメインフィールド)。リヒャルト・ヴァーグナー(1813-83)生誕200年ということで今年は名前を良く聞きますが、未読本棚のなかで関連のあるものをピックアップ。テーマは大衆煽動型政治に翻弄・利用されるヴァーグナー家とバイロイト音楽祭を描くもの。端々に思考停止型にナチス批判をすることへの違和感が伺えるのが特徴。2013/06/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/205963
  • ご注意事項

最近チェックした商品