内容説明
軍艦奉行・木村摂津守の従者として咸臨丸に搭乗、太平洋を渡った長尾幸作の航海日誌『鴻目魁耳』―。本書は、著者の曾祖父が遺したこの一次史料を手がかりに、福沢諭吉ら同乗者たちとの友情、勝海舟の辛苦など、渡航のドラマを克明にたどる。第六回和辻哲郎文化賞受賞の画期的労作。
目次
序章 曾祖父の日記―幕末軍艦咸臨丸
第1章 咸臨丸出航まで―軍艦奉行たち
第2章 太平洋横断の航海―鴻目魁耳
第3章 アメリカ滞在と帰航―初めての日本人たち
第4章 咸臨丸の人々―福沢諭吉の手紙
第5章 長尾幸作の一生―亜行記録
終章 サンフランシスコ再訪―水夫たちの墓
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
3
このような日記が書かれていたとは思いませんでした。咸臨丸がアメリカへ行ったことは知っていても、その途中の公開がどのようなものであったかを読み解いて解説してくれています。あまり有名にはなっていない本ですが、この中にある様々なエピソードも面白く厚い本にもかかわらず、読み通してしまいました。和辻哲郎賞を受賞しているようです。2013/08/26
Eightman
0
咸臨丸は、幕末に初めて日本人が太平洋を渡りアメリカに航海した船として有名である。本書は、咸臨丸がアメリカに渡るに至る背景や交渉、航海中の実態、アメリカ・サンフランシスコに到着後の状況、日本帰国後の状況を、航海日記等の資料を元に、人を中心にまとめている。古いベカラズ調の原文を多く引用しており、読みづらい点も有るが、うまく解説していて大変に面白く読む事が出来た。鎖国がとかれたばかりの日本に、このように国際的に通用する人が存在していた事は、驚きとともに誇りに感じる。2014/05/21