中公文庫
富士日記〈中〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 496p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122028548
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C1195

出版社内容情報

天性の芸術者である著者が、一瞬一瞬の生を特異な感性でとらえ、また昭和期を代表する質実な生活をあますところなく克明に記録した日記文学の傑作。

内容説明

並はずれて奇抜で誰も思い及ばぬ発想のなかで、事物の核心をすべて喝破する、いわば生まれながらの天性の無垢な芸術者が、一瞬一瞬の生を澄明な感性でとらえ、また昭和期を代表する質実な生活をあますところなく克明に記録する。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

103
断腸亭日乗とこの富士日記は日記文学の白眉でしょうね。毎日の何気ないことを書いていてこれだけ読ませてくれる本はほかにはあまりない気がします。私ももう4度目の再読です。昭和41年から44年6月までのことを書かれています。東京とこの山梨の高原までを往復して、ご主人の武田泰淳の面倒を見てという日常ですが飽きさせません。文章力もあるのでしょう。2024/07/05

りつこ

58
大事に読んでいる「富士日記」。淡々とつづっているだけの日記なのに、読んでいてとても楽しくて気持ちが爽やかになる。愛犬ポコの衝撃的な死。その時は言葉少なく描かれているけれど、その死が長いこと影を落としていたことが伺える。泣いたり極端な行動をとろうとしたり宥められたりしながら家族でその死を乗り越えていったのだなと感じた。印象的だったのは百合子さんが事故に遭ったと思って探しに来た時の泰淳氏の様子。思い浮かべると涙が出てくる。附記が苦い。2019/02/25

chanvesa

45
飼い犬のポコが死んでから1年経った日の、泰淳との会話で「業が何もなくなったら朗らかになって小説なんか書けなくなるかもしれないね。商売上、うまくないね。病気の業の方を背負ってってくれるといいね。(363頁)」は、その後のことを考えるといたたまれなくなる。泰淳はやたらとビールを飲み、たばこを吸い、この時期眠いとか寝ているという記述が多くなる気がする。あた気持ちが悪くなったというような記述も散見される。一方百合子は食欲旺盛、そしてアクティブ。日産車をがんがん飛ばし、赤坂と富士の距離をものともしない勢い。2021/08/19

メタボン

45
☆☆☆★ 食べたものの記録については上巻と同様、斜め読み。それにしても美味しそうなものが多い。花や昆虫、河口湖周辺の自然の記述に癒され、富士周辺の道路での事故の多さに怯える。玉突き事故のエピソードは面白かった。大岡昇平との交流もなごむ。娘の花子の愛犬ポコの死は悼ましい。2018/05/06

KAZOO

45
この奥さんは烈女ですね。しかしながら旦那を大事にしているところはうらやましい限りです。当時、中央高速道路ができていないときに、東京から河口湖畔まで甲州街道をご自分で延々と運転して往復していたのですね。大したもんです。また飼い犬が亡くなってしまったところでは涙!私も気持ちはわかります。2014/02/02

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