内容説明
原生林を駆けめぐり、時には獰猛な熊にも立ち向かう、逞しき犬たち―。北海道の大自然の中で、彼ら獣猟犬とともに生きた著者が、想い出の犬たちとの愛情と信頼の絆を描く、四つの物語。
目次
1 クロ
2 アラシ
3 タキ
4 ノンコ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はじめさん
23
1917年、北海道産まれの著者。父親は製炭業で家族揃って山に住むが、その傍には常に「犬」がいた。幼少時の良き兄であったクロ、少年期を駆け抜けた山犬(オオカミの生き残り?)の子、アラシ、炭焼き従業員の青年が語ったかつて主人の仇を討つために獰猛な羆と戦ったタキとその一族、そして戦争の影が北海道の田舎に伸びてくるような時代、犬好きの父により集められた個性溢れる犬たちの中でボスとして君臨する天稟溢れる名犬ノンコ、四頭の犬を核とした短編集。リアル銀牙ちうか、自然の領域で人が暮らしていた頃の、犬とのパートナーシップ。2019/07/10
まさ
7
『羆吼ゆる山』と合わせてこちらも久しぶりの再読(もう1冊あり三部作です)。大正~昭和初期の北海道で著者と共に生きた犬たちの話です。羆や山犬が棲む土地で生きる人間も犬もたくましい。2017/05/30
Lole
2
人間界と野生界の間を行き来する飼い犬たちのその壮絶な生き様が描かれる。 荒涼とした最北の炭鉱の村で生き抜く主人公一家と彼らに纏わる4頭の犬の一生が語られていく。 主人との別れを良しとせず自ら命を断ったクロ、野生を選んだアラシ、恩人の敵を打ったタキ、そして熊から平然と作者を守った強犬ノンコ。 飼い犬でありながら、野生の本能をキラリと光らせる犬達の姿はとても美しい。2020/03/23